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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 7 (H14K−0156)連続式DLC太陽電池薄膜製造装置の開発

企業名 :ナノテック株式会社
研究者(研究機関名) :鈴木 薫(日本大学 理工学部 電気工学科 助教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本モデル化では、耐久性に優れたDLC(Diamond Like Carbon)を主原料とした太陽電池を作製するため、前年度に試作した2室構造の装置に前処理室を付加して4室構造とした連続式DLC太陽電池薄膜製造装置を試作した。本装置により、フレキシブルな基板に対するイオンボンバードによる基板洗浄、DLC−P層、DLC−N層、ITO層の成膜を可能とした。本装置は、4室構造であるため従来のバッチ式と比べて短時間で大量のDLC太陽電池用薄膜の生産を可能にし、生産コストを安く押さえることができる。また、このDLC太陽電池は各種の機械的特性に優れているため、従来技術であるシリコン太陽電池の利用が困難だった場所での利用も見込まれる。今後、従来のSi系の太陽電池からDLC太陽電池に切り替わり、環境に適合し、なおかつ安価な太陽電池として活用されていくことが期待される。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 フレキシブル基板上に太陽電池用DLC薄膜を成膜する4室構造をもつ連続式DLC太陽電池薄膜製造装置が完成し、目標の成膜特性は全て達成された。
知的財産権等の発生
 今後の試験研究により、太陽電池特性の中から特許発生の可能性がある。
企業化開発の可能性
 実用性のある太陽電池として期待通りの優位性を持った商品化を期待したい。太陽電池特性と成膜条件の因果関係について一層の検討を行うとともに、製品化にあたっては、広幅化、長尺化の加工方法の確立が必要となると思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 まずは太陽電池、さらにはDLC薄膜炭素材としての応用分野で、新市場、新事業創出への期待は大きい。開発に繋がる技術特性の明確化が望まれる。
3 ) 評価のまとめ
 4室構造の連続式DLC太陽電池薄膜製造装置は完成、目標の成膜特性は全て達成された。太陽電池及びDLC薄膜炭素材製造装置として、新市場、新事業創出への期待は大きいが、企業化には、実用性のある太陽電池として期待通りの優位性が認められことが必要。今後、太陽電池特性と成膜条件の因果関係解明の研究が進められ、DLC太陽電池の技術特性が明らかにされることを期待する。

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This page updated on March 25, 2005
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