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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 6 (H14K−0138)ナノインデンテーション用・超微小硬さ基準片の試作

企業名 :株式会社 山本科学工具研究社
研究者(研究機関名) :宮原 健介(独立行政法人 物質・材料研究機構  材料基盤情報ステーション 疲労研究グループ 主任研究員) 他2名

1 ) モデル化の概要および成果
 ナノインデンテーションは、通常の硬さ試験と同様に圧子(針)を試料に押し込んで行う硬さ試験方法であるが、その深さが1μm以下と非常に浅いため、複雑な組織を持つ材料の各組織単体の評価も可能である。他方、圧子先端は磨耗等による影響を受けやすく、補正用の基準片が必要となる。基準片には、ばらつきが少なく、均一性に優れた性質が求められるが、前年度のモデル化実施によりタングステンおよびニッケル単結晶製の基準片が均一性に非常に優れていることを実証した。本年度は、製品化を念頭におき、実際にユーザーが利用する環境で基準片の均一性を評価するために、16の試験研究機関・メーカーに試作基準片による試験を依頼した。その結果、同一の試験機・圧子による個々の基準片内/間でのばらつきは目標値(硬さ値で5%以内)を達成した。一方、グループ間での比較では、圧子や試験機等、測定環境における影響が顕著に現れた。これにより基準片の役割の重要性が確認され、早急な実用化の必要性が明らかになった。基準片の実用化は、本試験方法で得られるデータの信頼性向上ひいてはナノテクノロジー研究の信頼性向上の鍵となっており、期待が大きい。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 同一試験機・圧子での個々の基準片内/間でのばらつきは目標値を達成。試験機間での顕著なばらつきについて、今後解析が必要であるもののほぼモデル化の目標を達成したと思われる。
知的財産権等の発生
 知的財産権の発生はないが、基準片の作製方法はノウハウとして残ったであろう。
企業化開発の可能性
 コストは不明だが、モデル化の目的は達成しており、企業化の可能性は高い。そのためには、基準片だけではなく、測定方法を標準化することが必要である。
新産業、新事業創出の期待度
 大量に消費するものではないものの、産業界に不可欠な製品であり、新事業の期待は大きい。国際機関や各国標準局と連携して標準化を進めることが大事と思われる。
3 ) 評価のまとめ
 ほぼモデル化の目標を達成したと思われる。基準片の作製のノウハウを獲得した。産業界に不可欠・基礎的な製品であり、企業化・新事業創出の期待度、可能性は高い。国際機関や各国標準局と連携し、基準片並びに測定方法を標準化することが大事である。
 本事業を効果的に活用した企業の努力を高く評価したい。

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This page updated on March 25, 2005
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