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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 5 (H14K−0121)圧電アクチュエータによる負荷補償型精密センタレスグラインダの開発

企業名 :ミクロン精密株式会社
研究者(研究機関名) :樋口 俊郎(東京大学大学院 工学系研究科 精密機械工学専攻 教授)他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 本装置は、高出力圧電アクチュエータを加工位置制御に適用した精密センタレスグラインダである。主にマイクロシャフト、光通信部品などの外周面研削を行うことができる。
 本開発では、研削加工ユニット部の変位・振動に対し、高出力圧電アクチュエータ技術、高精度センサ技術、高精度機械設計・制御技術、精密研削加工技術を融合し、センサにより位置・変位・振動情報をフィードバックし、高出力圧電アクチュエータを高速応答させて剛性補完する独自の制振方式により研削時の振動レベルを低減させ加工精度の向上を目指し、目標を従来困難とされている繰り返し位置決め精度50nm以下、真円度、寸法精度100nm以下とした。
 実研削では、加工ユニットである研削砥石台において振動レベルがマイナス50%となることを確認した。その結果、目標の50nm以下の位置決め精度と同時に真円度100nm以下が達成されたが、寸法精度は限定条件下での一部達成である。
2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 実研削時の設定目標に対して、寸法精度が限定条件下での一部達成にとどまった他はほぼ目標値を達成し、全体として達成度80%程度のレベルに到達した。
知的財産権等の発生
 特許1件出願済み。
企業化開発の可能性
 位置決めおよび制振機構の制御の改善、さらに実研削負荷に応じた負荷補償機構の確立と小型化を実現することで、近い将来企業化が期待できる。
新産業、新事業創出の期待度
 量産・低価格機に本技術の付加で、生産精度の確保ができ、さらに小型化の実現により、従来レベルを上回る高付加価値製品として産業界への寄与が期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 精密センタレスグラインダの所期の目標に対して、実用レベルの観点からは達成度80%程度に到達した。今後実用生産レベルの達成のためには、位置決めおよび制振機構の制御の改善、負荷補償機構の確立、小型化の実現等の課題解決を図る必要がある。しかしながら、これら課題の解決の道筋が得られており、それを着実に実行することにより、低価格・汎用タイプ機でありながら、現状最上位クラス相当以上の高付加価値製品の実現が期待できる。

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This page updated on March 25, 2005
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