導入機関の声

旧科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」採択機関及び
科学技術人材育成費補助金「テニュアトラック普及・定着事業」選定機関に聞いてみました!

  • Q1 テニュアトラック制の実施状況を教えてください。
  • Q2 テニュアトラック制を導入して良かったことはありますか。
  • Q3 テニュアトラック制を今後どのように活用していきますか。

東京農工大学


村田 章
大学院工学研究院 教授
テニュアトラック推進機構長
  • 若手研究者の自立的研究環境整備促進:平成18年度採択
  • テニュアトラック普及・定着事業:平成23・24年度選定
A1
 事業開始時からテニュアポストはテニュアトラック教員全員分を用意し、純粋に業績評価だけによるテニュア付与審査が行える制度設計をしました。振興調整費事業では、全教員数の5%、准教授の13%に当たる22名のテニュアトラック准教授を平成18年度に一括採用し、最終的に19名にテニュア付与しました。
 平成20年度からは自主財源(大学運営費)による制度を開始し、スタートアップ資金は学長、部局、専攻による学内マッチングファンド形式で手当てしています。工学研究院では、若手の准教授は原則テニュアトラック採用、農学研究院では全ての助教をテニュアトラック採用としています。普及・定着事業では、平成24年度末までに21名を採用しました。平成24年度末でのテニュアトラック教員とその経験者の割合は、全教員に対し11.7%、工学研究院の准教授で39.5%、農学研究院の助教で50%という高い割合となっています。さらに、平成20年度から現在までの工学研究院での新規准教授採用の89%がテニュアトラック制による採用です。
A2
 テニュアトラック制により優秀な人材を採用でき、全学的な研究体制を強化することが出来ています。振興調整費事業時のデータでは論文数、外部資金、科研費新規採択率、受賞数全てにおいて、テニュアトラック教員は一般教員に比べて高い優位性を示しました。また、現在のテニュアトラック教員も、科研費新規採択率64.7%と非常に高い数値を示しています。さらに、平成24年度普及・定着事業個人選抜型には本学から7名が採択され、人件費の柔軟性が高まっています。
A3
 全学的にテニュアトラック制の利用を推進するために全学組織であるテニュアトラック推進機構を平成23年度に設置しました。振興調整費事業後の部局主体のテニュアトラック制において、推進機構が中心となって部局との連携を保ちながらさらなる普及定着を進めているところです。

金沢大学


山崎 光悦
理事(研究・国際担当)
  • 若手研究者の自立的研究環境整備促進:平成19年度採択
  • テニュアトラック普及・定着事業:平成23・24年度選定
A1
 新事業では、部局主導型による制度の導入を進めています。これまでに、人文科学系を含む部局でテニュアトラック制を導入しました。分野の特性に応じた審査基準が部局毎に設定されていますが、制度導入の拡大を受け、制度の質を維持するために全学的なテニュア審査指針の導入に向けた準備を進めているところです。
 これまでに、26名がテニュアトラック制度で採用されています。理工研究域での適用比率は、平成20年度:29%(助教)、平成23年度:13%(助教)、50%(准教授)、平成24年度:45%(助教)となっており、着実に制度の普及が進んでいると言えます。
 また、全学的な研究支援組織である先端科学・イノベーション推進機構のURAによる支援も優先的に行っています。
A2
 テニュアトラック教員を核とした研究域附属研究センターの設置など、優秀な若手研究者を軸に先端科学研究拠点の形成が進んでいます。また、テニュアトラック教員の外部資金獲得額の増加、国際的研究プロジェクトの参画、学内の若手研究者による研究グループの立ち上げなどが進んでおり、本制度を通して採用された優秀な若手研究者を中心とした教育研究の活性化が明らかになっていることから、人事制度の1つの成功モデルを提示できたものと考えています。
A3
 本学において、テニュアトラック制度は優れた大学研究者・教員を育成するための制度として位置づけられつつあります。大学戦略ポストを有効に活用した戦略的な人事とテニュアトラック制度を組み合わせることにより、法人主導で制度の普及を進め,成功モデルを増やすとともに、部局での成功モデルの構築を進めます。そのためには、スタートアップ経費支援や部局インセンティブの付与が重要であり、その財源確保が課題です。また部局の事情に柔軟に対応できるシステムにするため、積極的に改革に取り組んでいきます。

信州大学


中村 宗一郎
大学院総合工学系研究科長
  • 若手研究者の自立的研究環境整備促進:平成19年度採択
  • テニュアトラック普及・定着事業:平成23・24年度選定
A1
 総合工学系研究科(農・工・繊維・理学部で構成)は平成19年度以来、旧科学技術振興調整費による支援の下、日本型テニュアトラック制度のモデル構築に取り組み、顕著な成果を上げています。若手研究者の育成やテニュアポストの確保・拡充の面では、平成24年度までに38人をテニュアトラック教員に採用し、育成に取り組んできました。採用に際し必ず6年後のポストを用意しており、うち18人は科学技術振興調整費、15人は自主経費、そして5人は普及・定着事業による雇用です。
 また、平成23年度末までに13名のテニュア審査を実施し、12名にテニュアを授与しています(授与後の職位は准教授10人、助教2人)。残り20人は自主経費により任期終了まで雇用と研究支援を継続します。制度整備の面では、これまでの蓄積に基づき詳細な制度規程と運用ガイドライン、及び学部規程を制定しました。さらに、第2期中期計画・中期目標及びアクションプランに制度の推進を明記し、構成4学部全てでテニュアトラック制の導入が完了しています。
A2
 国際公募と透明な選考システムにより優れた若手研究者の採用が行われた結果、間接経費の収入が増える等、様々な好循環が起きています。直近5年の実績では、ISI Web of Knowledeトップ30%に121の論文が掲載され、うちFirstAuthorは66件となっています。
 また、科学研究費補助金の一人当たり採択件数は、学内平均0.42件を上回る0.74と高い値を示すとともに、補助事業実施期間中における科研費を含む外部資金の獲得総額は1億2467万円となっています。
A3
 国際公募による国際的視野を持ち、業績評価時における教育活動の重視により、研究と教育の両面に秀でた教員の育成を目指す人材育成モデルを、学内他部局、他大学等及び県内他機関へ波及させるべく努めていきます。

名古屋大学


國枝 秀世
副総長
  • 若手研究者の自立的研究環境整備促進:平成18年度採択
  • テニュアトラック普及・定着事業:平成23・24年度選定
A1
 第一期として旧科学技術振興調整費を用いて、平成18年度から22年度までテニュアトラックを実施しました。全員で15名を採用し、途中で転出者2名もありましたが、5年後に学内で11名、他大学に2名が定員に採用されました。現在第二期として更に2名を採用し、展開中です。
 部局で5年後のポスト確保を条件に全学部に募集を行いました。採択は高等研究院を中心に、全学共通に審査を実施しています。採用後は高等研究院で独立の研究スペースを提供し、PDの雇用、教育義務の免除など、整備された研究環境を用意しました。5年後には高等研究院で研究業績を調べ、定員教員に相応しいかどうか審査をしました。その結果を受けて、申請部局で審査の上、用意していたポストに受け入れを決めています。
A2
 広い分野で国際公募を行ったため、初回の応募者数は386名を数え、その中から選んだ15名、すなわち合格率4%と言う大変高い競争に打ち勝つような、優秀なテニュアトラック教員の採用ができたことが最も優れた点です。実際に退職でポストが空く5年前に優秀な研究者を惹き付けることができます。結果として、予定通りに部局への採用が順調に進んだことからも明らかです。
A3
 これまでは新しいグループを開く余裕がある部局が、テニュアトラック実施の中心でした。これからは、更に活用し易くするため、大学本部から一時的ポストを提供、部局で新グループ構築に必要な協力研究者(助教など)の確保を検討していきたいと思います。

大阪府立大学


安保 正一
学長顧問(前理事)
  • 若手研究者の自立的研究環境整備促進:平成20年度採択
  • テニュアトラック普及・定着事業:平成23・24年度選定
A1
 旧科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」における「地域の大学からナノ科学・材料人材育成拠点」事業では、世界的なナノ科学・材料分野の拠点を目指して高インセンティブ型テニュアトラック制度を導入し、テニュアトラック特別講師16名(内1名はテニュアトラック特別准教授に昇任)を採用しています。本事業における中間評価では、総合評価「S」、個別評価も全項目で「S」という高い評価をいただきました。
 その後、「テニュアトラック普及・定着事業」に採択され、工学研究科、生命環境科学研究科、理学系研究科の3部局で、テニュアトラック助教を9名採用しています。さらに、平成25年度採用の助教については、これらの支援事業とは関係なく、本学独自の取り組みとしてテニュアトラック助教の採用を開始し、3名採用しました(府大版テニュアトラック制度)。
A2
 高インセンティブ型テニュアトラック制度で採用した教員につきましては、「Nature」「Nature Materials」など主要な学術誌への論文発表・文部科学大臣表彰若手研究者賞の受賞(2名)・科学研究費補助金若手研究Aの採択(3名)など、全ての教員が目覚ましい顕著な研究業績を上げています。また、これらの教員の活躍に触発され、本学の全教員の研究がさらに活性化されてきていると実感しています。JSTのA-STEP探索タイプでは、平成23年度に最多の採択数を獲得でき日本一に、平成24年度も2位となりました。また、科学研究費補助金の採択全額(新規採択+継続分)においては、平成24年度は公立大学で1位になりました。これらの具体的な成果は、テニュアトラック制導入による波及効果の現れと捉えております。
A3
 平成25年度採用の助教から、本学独自の制度でのテニュアトラック助教の採用を開始し、任期付き助教をなくしていきます。これにより、本学に優秀な若手研究者を迎え入れ、本学で一層その力に磨きをかけていただき、世界的に活躍していただける教員として育っていただくための制度として、テニュアトラック制度を今後とも継続して拡充し活用していきたいと考えています。

東海大学


山口 滋
創造科学技術研究機構長
  • 若手研究者の自立的研究環境整備促進:平成22年度採択
  • テニュアトラック普及・定着事業:平成24年度選定
A1
 私たちは「教育」、「研究」、「社会貢献」、「国際貢献」の4つの柱を持って、新たな社会的価値を創造していくことを使命としています。このような理念の下、テニュアトラック教員は大学での研究活動の重点化施策を進める上で重要な役割を担っています。テニュアトラック制を導入して定着を図るべく、平成22年度に新たに学内に創造科学技術研究機構を設置して、研究環境を整えた特区で人材育成を行っています。まず基礎医学系から採用を開始し、理工学分野と併せ現在6名が採用されています。すでに平成22年度採用の1名が中間審査で高い評価を受け、テニュア教員として採用されることが決定しており、他の教員もこれに続き、研究科や学部で重責を担う教員として期待されています。
A2
 外部審査員も含め、各学部、研究科の責任者が参加し、研究者に対する透明性の高い選考と実績評価を行う制度を確立できました。この結果、基礎医学分野ではゲノム科学、再生医療、創薬の臨床応用研究で、理工学分野ではこれらと連携する国際経験豊かな研究者が採用されました。これらテニュアトラック教員がコアになって、学部を超えて連携する学際的な複数の研究プロジェクトがスタートしたインパクトは、学内に大きく波及しています。研究人材として複数の教員による多面的な指導を受ける制度も充実し、国際性と競争力を持つ視野の広い教育・研究者が育ちつつあり、全員が外部資金を獲得し顕著な研究成果を上げています。
A3
 補助事業終了後も、基礎医学や理工学分野では、制度を継続して、毎年若干名のテニュアトラック教員採用を行います。平成25年度にはさらに海洋学分野へ制度を展開します。研究特区として設置した創造科学技術研究機構は、学部・研究科を横断的に見渡しながら、今後も若手教育・研究者の育成を担う予定です。
文部科学省 科学技術振興機構