戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

領域紹介

耐熱合金・金属間化合物等の創製技術開発 航空機用耐熱合金の革新的加工技術と高機能次世代TiAl金属間化合物の実用化を目指して

[本文]

領域紹介

NIMS拠点 PRISM

発電用蒸気タービン向けの
高強度大型鍛造ディスク部材の開発


(B27)

コンセプトとアプローチ

蒸気タービン最終段の長翼化や高効率翼の採用においては、タービンの高速回転による遠心力に耐えるとともに、優れた耐SCC(応力腐食割れ)性を有する軽量・高強度・高靱性な動翼材料に加え、その動翼を支持できる強度・靱性と耐SCC 性を有するローター材が必要となる。ローター材には現状、比較的安価な低合金鋼が用いられており、高合金鋼やチタン合金が用いられる動翼に対して、さらなる高強度化が難しい状況である。

本研究では、強度・靱性と耐SCC 性に優れた大型の鍛造ディスク部材を開発し、ローターの最終段に適用することにより、火力発電および地熱発電設備の効率向上と大出力化を達成し、温室効果ガスの排出抑制と電力価格の低減を通して、我が国の産業競争力強化と経済発展に貢献する。

長翼化や高効率翼の採用には、その動翼を支持するローター材の高強度化が必要であり,以下の課題を解決する。

図:発電用蒸気タービン向けの高強度大型鍛造ディスク部材の開発 コンセプトとアプローチ
  • 従来材の焼戻温度低減による高強度化では靭性耐・耐SCC性が低下する
  • 動翼に比べて大型部品であり、高級鋼の適用はコスト・製造性から非現実的
  • 重要な回転部品であり信頼性・実績が重視される

ユニット構成と役割

【NIMS】
金属組織とプロセス設計(結晶粒微細化のコア技術)
【東芝】
実用化性能評価と実用化検討(タービン機器・材料の知見)
【日立金属】
ディスク部材試作(大型ディスクの製造プロセス)
図:発電用蒸気タービン向けの高強度大型鍛造ディスク部材の開発 ユニット構成と役割結晶粒超微細化制御により鉄鋼材料の強度×靱性バランスを大幅にブレーク, Science (2008)

研究開発

  • 超微細結晶粒組織のディスク部材への適用
  • 大型ディスク部材の製造プロセス開発
  • ディスク部材の性能検証と実用化検討

超微細結晶粒組織を部材の適材適所に創製することにより,靱性と耐SCC性に優れた1200MPa級高強度タービンディスクを実現する。

図:発電用蒸気タービン向けの高強度大型鍛造ディスク部材の開発 研究開発

火力発電蒸気タービンプラント用
TiAl鍛造合金動翼の開発


(B33)

コンセプトとアプローチ

火力プラント高効率化のため620℃超級蒸気タービンの需要が見込まれるが、ロータ材としてフェライト鋼は620℃級が限界であり700℃級A-USC用Ni基合金はコスト面で課題がある。軽量なTiAl合金を動翼に適用できればロータに作用する応力が低減されフェライト鋼ロータの耐用温度を650℃以上に向上できる。本研究では東工大 竹山が提案するβ相を活用した組織制御とMHPSがプラントメーカとして有するノウハウ・製造設備を用い、動翼に適した高靱性・高強度な材料・プロセスを開発し、実翼試作により検証する。図はβ相を活用した製造プロセスの概念図であり、本プロセスにより割れなどの問題無く鍛造できることを確認できている。水蒸気中でのTiAl合金の使用例はないため、水蒸気中の酸化・クリープ挙動の解明および信頼性評価も行う。

図:火力発電蒸気タービンプラント用TiAl鍛造合金動翼の開発 コンセプトとアプローチ

ユニット構成と役割

図:火力発電蒸気タービンプラント用TiAl鍛造合金動翼の開発 ユニット構成と役割

研究開発

図:火力発電蒸気タービンプラント用TiAl鍛造合金動翼の開発 研究開発1