イノベーションシステム整備事業

先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム

Creation of Innovation Centers for
Advanced Interdisciplinary Research Areas Program

研究開発

大学等と企業が、計画段階から対等の立場で連携し、将来的に我が国の経済・産業の国際競争力の強化に
寄与するような成果をもたらすことを明確に意識した研究開発を実施する。

平成19年度採択
 国立大学法人 京都大学 『次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点』 
http://www.ak.med.kyoto-u.ac.jp/

1
新規関節リウマチ薬の創製

関節リウマチは、関節を包む滑膜に炎症が起こる病気で、腫れ、持続的な炎症・痛み、関節の変形をきたす。TNF中和療法などにより治療法は改善したが、その有効性・寛解率は不十分で全身免疫抑制による感染症も出現する。そこで、患者試料を用いた病態解析をもとに滑膜局所に直接作用して炎症や関節破壊を抑制する治療薬を創製する。
社会的価値:抗TNF薬など既存薬に不応答な患者にも高い寛解率を示す事で患者のQOLの改善、社会的労働力の向上が期待できる。
経済的価値:既存薬に不応答な患者に対する滑膜除去手術、関節置換術を減少させ、寛解維持、薬剤離脱に至る患者割合の増加、感染症対応への医療費を抑制することが期待される。
予想市場規模/予想達成時期:2,687億円/年(日米欧)/発売予想
時期2026年 実施期間終了後10年後
これまでの成果:関節リウマチ患者の滑膜組織の解析から標的分子を発見した。この分子に対する抗体は、ヒト滑膜細胞の肥厚を抑制し、動物の病態モデルで著効を示したので、抗体医薬としての臨床開発にむけて種々の検討を実施している。
協働機関:アステラス製薬㈱



Johns Hopkins Arthritis Center
Marilyn Towns and Joan Bathon
http://www.hopkinsarthritis.org/
            から引用

2
新規全身性エリテマトーデス(SLE)治療薬の創製

SLEは自己の細胞成分とそれに対する自己抗体が免疫複合体を作り、腎臓、皮膚、脳などの組織に沈着し、リンパ球が組織を攻撃して障害を起こす。SLE患者は比較的に思春期以降の女性に多い。機序は不明で患者ごとに症状が異なる。基礎免疫からの発症機序の解析、臨床医と協働しての患者試料を用いた患者層別化に基づく臨床有用性の解析、アステラス製薬㈱が作出する抗体を用いた治療効果の解析を融合し新規治療法を開発する。
社会的価値:強力な作用と優れた安全性により、妊娠可能な女性患者に対してもシクロホスファミド、MMFなどに代わる薬剤として対象患者が広がり、妊娠出産が可能となる患者への適応も増加させることが期待できる。
経済的価値:既存療法では達成出来ないステロイド減量を達成することで、その副作用である骨折、感染症、高血圧、高脂血症などの予防および治療のために投与される薬剤費を大幅に減らすことが期待される。
予想市場規模/予想達成時期:1,058億円/年(日米欧)/発売予想
時期2027年 実施期間終了後11年後
これまでの成果:免疫基礎研究の成果から、自己抗体の産生と腎臓の組織障害の原因となりうる新規薬物標的分子を特定した。この分子に対する抗体はSLE動物モデルの病態を改善した。ヒト型抗体医薬創製に向けて開発候補抗体を作製中である。
協働機関:アステラス製薬㈱


SLE患者の紅班

3
新規アトピー性皮膚炎治療薬の創製

皮膚上皮の角化細胞は異物の侵入に対してバリアー機能を持つが、アトピー性皮膚炎ではその機能が破綻している。この破綻はフィラグリン分子の発現低下による。拠点と京大病院皮膚科との連携により、皮膚バリアを修復する化合物を創出して、従来のステロイド薬による対症療法とは異なる本質的な治療薬の創製を目指す。
社会的価値:既存薬に抵抗性を示す重症患者の日常生活への支障、社会生活不適合を改善することができる。
経済的価値:塗布ステロイド並みの薬効を経口薬で達成することで既存薬を置き換え新しい市場が形成される。
予想市場規模/予想達成時期:1,068億円/年(日米欧)/発売予想時期2027年 実施期間終了後11年後
これまでの成果:培養皮膚細胞のフィラグリン発現を上昇させるツール化合物を取得し、この化合物がマウス皮膚炎モデルの病態を改善させることを確認した。この化合物の直接の分子標的を特定したので、化合物の大規模探索を実施する。
協働機関:アステラス製薬㈱


アトピー性皮膚炎