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開発課題例

太陽光発電分野

【 開発課題例1 】
太陽電池のナノレベル表面・界面現象の解明に資する計測分析

(概要)
 太陽電池の高効率化・高信頼化確保に向け、表面・界面のナノレベルでの結晶欠陥などの構造要因と、キャリア再結合、電気的性質等の動的機能との相関を解明するための、計測技術および計測分析システムを開発する。
(開発の必要性)
太陽光発電による発電コストを7円/kWh以下まで下げるため、太陽電池の高効率化、高信頼化(光劣化や高温劣化を起こさない構造)が緊急の課題
  •  高効率化、高信頼化確保のボトルネックは表面・界面やバルク内のキャリア再結合抑制技術等で、再結合を極限まで減少させるための構造要因の詳細な解明が必要である。
     このため、表面・界面の原子レベルの三次元構造や欠陥の分析評価法を開発し、キャリア再結合を極限まで減少させる構造要因の究明が必要。また、キャリア寿命時間の深さ方向での分布測定技術開発により、表面やバルク欠陥による再結合現象の総合評価を実現。さらに、表面・界面における原子レベルでの電界強度分布の計測技術を開発し、固定電荷発生のメカニズムを実証的に解明。変換効率を25%以上まで向上することを目指す。
  •  多結晶太陽電池での高効率化のボトルネックは、結晶粒の究極的な品質向上と粒界での再結合抑制技術。
     結晶方位、品質は結晶粒毎に異なるので、結晶粒毎の結晶方位や、キャリア濃度、キャリアライフタイム等の電気的特性を評価するナノレベルの計測技術を開発し、結晶粒と粒界で起きる現象を実証的に把握。変換効率を、単結晶太陽電池の変換効率に限りなく近づけ、シリコン多結晶太陽電池ならびにCu(InGa)Se2多結晶薄膜太陽電池では、変換効率を25%まで向上することを目指す。
  •  微結晶、ナノ結晶材料太陽電池での高効率化、高信頼化のボトルネックは、ナノ粒子内部や粒界で電気的性質が大きく異なること。
     このため、粒界の導電率、バンドプロファイル、再結合速度などのナノレベルでの評価や、ギャップ内準位の超精密測定技術を開発。キャリア損失過程の原因となる構造要因の解明への道筋を明示し、高効率化、高信頼化を確保。シリコン系ナノ結晶太陽電池では、18%を超える変換効率を達成することを目標とする。

【 開発課題例2 】
太陽電池の光照射場における表面・界面現象の解明に資する動的計測分析

(概要)
 次世代太陽光発電システムの高効率化、長寿命化に向け、光照射場における界面構造、状態、反応メカニズムを、時間分解しかつ原子・分子レベルで解析する、新しい計測分析システムを開発する。
(開発の必要性)
 次世代太陽光発電における発電コストを、火力発電並のコスト(7円/KWh)に下げるため、特に、色素増感太陽電池における高効率化と長寿命化、量子ドット型太陽電池における高効率化、ナノ構造部材の製造技術開発が課題。
  •  色素増感太陽電池の高効率化に関わり、大きな表面積の固液界面での表面・界面の構造やエネルギー状態と電子移動との関係が未解明であるため、これを解明することが課題。電極表面での色素吸着配列現象と電子移動過程の同時計測が必要である。
     表面・界面での電極表面構造や材料のエネルギー準位、増感体などの吸着配列現象、エネルギー状態、電子励起状態などの現象を同時に把握し、当該表面・界面での電子移動過程を高い時間分解能(フェムト秒レベル)で時系列的に計測分析するシステムを開発。現行から変換効率を15%まで向上することを目指す。
  •  色素増感太陽電池の長寿命化のボトルネックは、劣化メカニズムが未解明であること。
     制御された環境場(光照射、温度、湿度等)における、固液界面での色素や添加物の脱離及び吸着分子配列の変化、表面・界面における水分子や酸素原子の吸着脱離状態などを原子・分子レベルの動的挙動として計測する技術・システム開発が必要となる。
     この計測技術の実現により、表面・界面の吸着脱離状態と発電機構との関係をシミュレーションなどでモデル化し、劣化メカニズムを解明。20年以上の寿命を目標とする。
  •  量子ドット型次世代太陽電池の高効率化のボトルネックは、量子効果の観測とその効果的な利用がまだ実現していないこと。その実現のためには、光照射場での内部界面におけるエネルギー状態、電位分布などを、量子ドットの形状や分布、内部構造と相関させて原子・分子レベルで三次元計測する必要がある。
     この計測技術実現により、光閉じ込め効果やキャリア輸送最適化などの量子効果を最大化する量子ドット技術への指針を得て、変換効率を40%以上まで向上させることを目指す。
  •  太陽電池の高効率化の課題は、モデル的に示された表面積の大きな電極構造や量子ドット構造を実現する、ナノ精密製造技術の確立。この製造プロセス下で核形成して構造変化する材料挙動を、エネルギーとの相関で解明する新規な動的計測技術開発を目指す。
     この計測技術開発により達成された高効率太陽電池の早期市場投入に寄与する。

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蓄電池分野

【 開発課題例1 】
蓄電池における固体内反応現象の解明に資する計測分析

(概要)
 リチウムイオン電池等のロッキングチェア型電池の充放電に伴う、固体内のリチウムイオン挿入・脱離反応のダイナミクスとそれに伴う副反応を解明するための計測分析技術を開発。
 また、稼働中の電気自動車用、および据え置き型蓄電池の劣化診断を行い、余寿命を判定することは、電池を利用している現場において、非常にニーズが高い。
(開発の必要性)
 自動車や電力貯蔵用途にリチウムイオン電池が広く使用されるためには、耐久性と発火しない安全性、レート特性、エネルギー密度の向上、コストの低減が緊急の課題。
  •  耐久性・安全性向上のボトルネックは、電極活物質の表面での反応の未解明。活物質固体表面近傍のリチウムイオン量変化、遷移金属の価数変化と酸素種の安定性、表面構造変化等、固体内での反応挙動と電荷移動を解明する動的計測が必要となる。
     この計測技術実現により、活物質固体内の反応等の詳細を解明。蓄電池設計の最適化、作動条件の限界制御を可能とし、10年以上の寿命の達成を目指す。また、安全性のより一層の向上が望まれる。
  •  レート特性向上のボトルネックは、界面反応過程と固相内の反応のダイナミクスの未解明。リチウムイオン電池のレート性能の制限要因である固体内の拡散、相変化のダイナミクス解明が必要。
     このため、固体内で酸化物内の遷移金属の価数の変化をナノ秒以下の時間分解能、数十マイクロメートル以下の空間分解能で計測し、蓄電性能との相関性の解明する技術を開発。自動車用途等の蓄電池での出入力性能を、エネルギー密度を保ちながら、2,000W/kgまでの向上を目指す。耐久性と安全性を確保しながら高出力、急速充電の実現を目指す。
  •  リチウムイオン電池のエネルギー密度向上、コスト低減には、資源制約を受けない新しい高容量電池活物質の材料開発が必要。
     このため、正極活物質及び電極内の遷移金属の価数変化の分布と進行、固相内の拡散定数と構造変化速度の計測分析技術を開発し、材料の構造と電子的性能との関係をシミュレーションなどで解明し、活物質の設計を可能とする。汎用遷移金属による安価で安全、高耐久、高エネルギー密度の正極活物質を実現し、エネルギー密度250Wh/kg、コスト7万円/kWhまでの向上を目指す。
  •  リチウムイオン電池の特性は放電曲線により表され、電池から一定の電流を取り出すと、時間とともに電圧が低下する。しかし、電池内部の欠陥や材料の経時変化に伴い、劣化が進むと、ある時に突然、特性が放電曲線から外れた挙動を示し、使えなくなる。また、定格容量を示している電池も徐々に容量が低下し、いずれ寿命となる。
     劣化の様子は電池の外部からは判定できず、分解して内部を見る以外、有効な手段がないが、電池が使える状態(稼働状態)で、あとどのくらい使えるか(余寿命)を判定できる計測手法が強く求められている。
     特に、電気自動車で使い古された蓄電池をリサイクルし、家庭用蓄電池として再利用する場合にこうした計測機器へのニーズが高まりつつある。

【 開発課題例2 】
次世代蓄電池における電極界面現象の解明に資する計測分析

(概要)
 リチウムやマグネシウム等の金属負極でのデンドライト析出のメカニズムを解明し、その抑制に貢献する計測システムを開発する。特に、電解液と電極の界面でその場測定ができ、表面形状と表面の物理的・化学的性質を観察できる計測分析システムを開発。
(開発の必要性)
 電気自動車の一充電走行距離の飛躍的増大には、高エネルギー密度の蓄電池開発が不可欠。
  •  高エネルギー密度の蓄電池開発のボトルネックは、充電時でのデンドライト析出。活物質の表面物性を含めた析出メカニズム解明が必要となる。
     このため、金属析出過程におけるモーフォロジーと界面張力、表面エネルギー、表面拡散速度、金属イオンの吸着状態、析出金属表面被膜等の諸要因の電解液/金属界面の液相中の動的挙動を計測分析する技術開発を目指す。
  •  この現象の要因をシミュレーションなどの支援を得て解明することにより、金属負極のデンドライト析出の抑制技術が実現し、次世代蓄電池の高容量負極候補であるリチウムやマグネシウム, カルシウム, アルミニウム等の金属負極が利用可能となる。
  •  また、デンドライト生成過程のin situ測定技術は、リチウムイオン電池の界面近 傍の液相反応の観察も可能とし、電解液添加物、電極表面被覆などの高性能化、 低電位負極に必須のSEI (Solid Electrolyte Interface)の安定化の実現に寄与。
     リチウム-Air電池等のエネルギー密度を300 〜 700 Wh/kgまで向上させることを目指す。

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燃料電池分野

【 開発課題例1 】
燃料電池内部における物質系の3次元挙動解析

(概要)
 燃料電池の性能向上に向け、作動中の燃料電池内部のアノード、電解質、カソードにかけての深さ方向の反応や物理現象を高時間分解能 (ナノ秒レベル)、高空間分解能 (マイクロメートルレベル)で測定し、任意運転状況下の電池内の現象を三次元計測し可視化するシステムを開発。
(開発の必要性)
 燃料電池の実用化には、新規材料および最適構造開発による発電性能と耐久性の向上、コスト削減が不可欠。また、構成材料の性能・耐久性・信頼性を最大限活かす燃料電池システム運転の最適化が不可欠。
  •  発電性能と耐久性向上に際しては、発電中の電池内部での素反応が未解明であるためこれを解明することが課題。
  •  膜電極接合体とガス拡散層の内部での燃料・酸素・水蒸気・二酸化炭素等の分布と温度・電位等の分布を、マイクロメートルレベルの空間分解能とナノ秒レベルの時間分解能で計測し、電池性能を左右する要因を解明する技術が必要となる。
     この計測技術の実現により、発電中の燃料電池内での実空間・実時間での構造及び反応解析を初めて可能とし、状態把握に基づく発電性能・耐久性向上研究へと大きく転換することが期待される。
  •  コスト削減に当たっては、高価な白金を使用する量を低減すること、及び低加湿・高温運転可能な低コスト電解質の開発等が課題。単セル構成各層の三次元構造・各種成分・組成分布の挙動、電解質内の輸送挙動などの各現象を、液・固・水に渡って動的に把握した上で、電気抵抗の定常及び過渡現象を解析することが必要となる。
  •  このため、触媒層内の気・液・固・水、反応物等の分布ならびに温度、電位、電気抵抗の分布に関する定常及び過渡現象解析、特に過渡現象時に変化する反応領域の詳細解析技術を開発し、白金使用量を現状の1/10とすることを目指す。燃料電池車等の普及に要するシステムコストと耐久性実現に大きく貢献することが期待される。
  •  燃料電池システム運転を最適化するためには、構成材料の性能・耐久性・信頼性を最大限活かした電池システム制御技術が必要。セルを構成する各層の三次元構造・成分・組成の分布・挙動に関する三次元計測・シミュレーション技術等を活用することにより、各種運転条件下のシステム挙動のフレキシブルな可視化と予測技術が可能となる。
     この計測技術開発により、任意条件下における電池内の現象、状態の解析、電池システム運転最適化の実現が期待される。

【 開発課題例2 】
燃料電池作動環境での触媒反応の計測分析

(概要)
 燃料電池作動環境で、触媒における電子状態変化等の計測分析を行うシステムを開発する。
(開発の必要性)
 燃料電池の実用化には、発電効率向上、低価格化、高出力化、および長寿命が不可欠。また、用途拡大と普及促進のため、常温で高効率に作動する低温型燃料電池開発が不可欠。
  •  発電効率向上に当たっては、各要素の電圧損失が課題であり、中でも酸素極の電圧損失が最も大きい。この低減には、酸素電極近傍(マイクロメートルサイズ)の酸素濃度、水の分布情報等のナノ秒レベルのその場計測が必要である。
     この計測技術確立により、電極近傍でのマイクロメートルサイズの物質、電子の挙動が解明でき、現在実用化されている燃料電池より30%以上の発電効率向上が期待される。
  •  低価格化のためには、高価格の白金触媒の使用量を低減する必要がある。使用量低減への指針づくり、脱白金を含む新規材料開発のため、電極反応有効面積の計測技術の実現を目指す。
     この計測技術実現により、触媒と電解質の接する界面状態の把握と定量化、触媒利用率の正確な見積もりを可能とし、白金触媒低減への指針を得て、さらには脱白金を含む新規材料を開発することで、現行の酸素極材料のコストを100分の1以下にし、燃料電池の低価格化の実現が期待される。
  •  高出力化に当たっては、触媒層の高機能化と反応に伴う電子移動の計測法開発が課題。
     燃料電池発電時の触媒層内での電子伝導パスの可視化により触媒活性分布挙動の測定評価技術を実現。これをもとに、触媒層を高機能化し、高出力化の達成が期待される。
  •  常温で高効率に作動する低温型燃料電池開発のボトルネックとなっている点は、電極反応促進のための白金触媒利用。
     脱白金触媒を実現するには反応活性点での電子状態や吸着種の計測技術が必要。この計測技術により、非白金触媒の表面その場計測を行い、反応解析を進めて高活性触媒を開発できる。非白金触媒を用いた、常温で高効率に作動する低温型燃料電池の実現が期待される。
  •  燃料電池の高効率化に際しては、触媒表面積の大きな電極製造技術が課題。
     触媒を分散担持する電極構造の製造プロセスにおける触媒分散と結合材の融合挙動を動的に計測分析する技術開発を目指す。
     この計測技術により、触媒が最適分散された高効率燃料電池の開発が可能になる。

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