チームリーダー : |
本間 敬之【早稲田大学 理工学術院 教授】 |
サブリーダー : |
河村 賢一【(株)東京インスツルメンツ 商品開発室 室長】 |
中核機関 : |
早稲田大学 |
参画機関 : |
(株)東京インスツルメンツ、(株)協同インターナショナル |
- T.開発の概要
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材料・デバイスの最表面から界面までの分子構造や化学反応を非破壊で高精度、“その場”計測する装置について、実用化を目指して用途に応じたプロトタイプ機を開発する。本開発では、三次元高分解能・高速測定及び2ミリ秒以下の高速動的測定への対応を目標とする。また、上記性能を実現する感度1万倍以上の高感度表面増強ラマンセンサについても開発する。本装置は固液界面反応やナノトライボロジー等に関わるエネルギーデバイスやストレージデバイス、さらに機械システムなど、広範な産業分野への応用が期待される。
- U.中間評価における評価項目
- (1)ナノトライボシステムの開発
- 耐久性荷重10 gf以上、感度を現状の5.6倍(通常ラマンの15,000倍)の高性能センサを開発した。また、追従性2 rpm以上で摩擦力とラマンスペクトルの動的同時計測に成功し、中間目標を上回った。
- (2)固液界面反応解析システムの開発
- 面分解能100 nmのセンサを開発し、マイクロアレイ型センサによる固液界面の計測に成功した。また、多共焦点顕微鏡を導入した顕微ラマン測定システムを用いて、多点同時測定及び、非スキャンでスペクトルの同時測定を実証した。
- (3)その他
- 本開発機により、Liイオン電池の動的変化、電解析出プロセスのpH変化、無電解析出プロセスでの添加剤の挙動、他反応種との相互作用、TSV(Through Silicon Via)内部の添加剤挙動等で、本開発技術による応用展開の可能性を確認した。
- V.評 価
- 要素技術タイプで開発した埋もれた界面に適用可能なセンサ(分子スケールで高速に“その場観察”可能)を活用し、ナノトライボロジーと固液界面解析用のシステムを開発する課題である。開発は順調に進捗しており、「ナノトライボ測定システム」、「固液界面反応解析システム」について、それぞれプロトタイプ機を完成している。さらに、これらのシステムを駆使して科学技術的にも新しい知見が得られ、計測の応用範囲が着実に拡大している点は高く評価される。
今後は、実用化に向けた課題を早急に解決し、ターゲットを絞って最短スケジュールで事業化への取り組みを推進すべきである。さらに、本技術の認知・普及のため、より一般的なジャーナル等を活用した成果の公表にも積極的に取り組むことを期待する。[A]
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