チームリーダー : |
越川 孝範【大阪電気通信大学 客員研究員】 |
連携担当者 : |
金 秀光【高エネルギー加速器研究機構 加速器第7系 特別助教授】 |
中核機関 : |
大阪電気通信大学 |
参画機関 : |
高エネルギー加速器研究機構
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- T.開発の概要
- 【装置】本プログラム「要素技術タイプ」および「機器開発タイプ」において開発した高性能スピン偏極電子顕微鏡を開放(共同利用)する。この装置は、超高輝度(市販品の1万倍以上)、高スピン偏極(同3〜4倍)、長寿命(同300倍以上)と圧倒的に高い性能を持つスピン偏極電子顕微鏡である。
【内容】スピン偏極電子顕微鏡を広く国内外に共同利用装置として公開するとともに、ユーザーの声を反映させ、さらなる性能とユーザビリティの向上を図る。スピントロニクスで必要とされる高性能磁性薄膜材料開発などに大きな貢献をすることが期待される。
- U.開発項目
- (1)共用装置の稼働状況
- メンテナンスや調整に費やした時間があったものの、実質的に年間250日の目標を上回る稼働率であった。
- (2)年間外部利用と外部利用公募
- 計6件の外部利用があり、目標の件数を達成した。なお、それぞれの実施期間は計画より長くなっており、十分な外部利用実験の時間を確保することができた。
外部利用公募やPR活動については、会議での発表の際に装置の供用について周知に努めたが、ホームページによる情報公開は準備の都合で間に合わなかった。
- (3)成果発表件数
- 学会発表は機会があるごとに行い、うち招待講演が半数近くを占めた。論文発表は15件であった。なお共用活動による成果の発表は1件であるが、今後増えていくものと思われる。
- V.評 価
- チームが開発した高性能スピン偏極電子顕微鏡は、他に例を見ないオンリーワンの優れた装置であり、本装置を広く開放して材料評価などの研究開発に利用してもらうことで、新しい成果の創出への寄与が大いに期待できる。国内外の研究機関により、当初計画以上の外部利用実績があり、その意味で共同利用の一定の成果は認められる。一方で、利用研究者や測定対象については拡大の余地があるものと考えられ、今後は国立研究開発法人物質・材料研究機構に移管され共同利用の継続が確保されていることから、スピンが関わる物性・材料研究の強力なツールとしてさらなる利用拡大を期待したい。
本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。
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