チームリーダー : |
中川 達央【(株)ユニソク 分光事業部 部長】 |
サブリーダー : |
加藤 隆二【日本大学 工学部生命応用化学科 教授】 |
中核機関 : |
(株)ユニソク |
参画機関 : |
日本大学、大阪大学 |
- T.開発の概要
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本開発では、新しい過渡吸収測定手法であるRIPT法(Randomly- Interleaved -Pulse- Train method)の性能を飛躍的に向上させるとともに、テーブルトップサイズの普及型サブナノ秒過渡吸収測定システムを構築する。従来の過渡吸収測定法において計測が困難であった1ナノ秒から数十ナノ秒の領域を含む広い時間幅をカバーすることにより、過渡吸収測定法の汎用性が飛躍的に高まり、基礎から応用までの幅広い研究・開発への貢献が期待できる。
- U.中間評価における評価項目
- (1)1波長評価システムの開発
- 普及型モデルにて、デコンボリューションによる反応時定数86 ピコ秒を実現した。また、ポンプ光パルス幅25 ピコ秒のハイエンドモデルにて、中間目標はもとより、最終目標をも上回る成果として、ハードウェア時間分解能46 ピコ秒を実現した。
- (2)2ch ADC・メモリ回路の作製
- 回路性能は ADC 分解能 12 bitを実現し 中間目標を達成したが、メモリPC転送速度は 高速転送ソフトウェアの評価は未実施のため、速度確認に至っていない。
また、A/D ボードの改造回路設計図は 90 %程度 完成で、中間目標は若干未達であった。
- V.評 価
- 独自の過渡吸収測定技術(RIPT法;特許出願済み)を活用し、現状では計測装置がない1ナノ秒〜数十ナノ秒領域の過渡吸収スペクトル変化の計測を通じて、分子構造の変化を追跡しようとする開発課題である。RIPT法は、高い時間分解能を有し、広領域の同時測定と蛍光信号に埋もれた過渡吸収信号を抽出可能である。目標とする要素技術の開発は順調に進捗し、中間目標をほぼ達成している。また、測定所要時間を劇的に改善し、実サンプルによる可視〜近赤外広帯領域の同時測定や過渡吸収・発光の同時測定等の学術的な成果も出ているが、マルチパス光学系の完成が課題である。
今後は、高速転送ソフトウェアを完成させるとともに、マルチパス光学系の検討を重ね、マルチチャンネル回路と高効率マルチパス分光器を搭載した製品の早期実現化に向けて着実に開発を推進すべきである[A]。
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