チームリーダー : |
松尾 二郎【京都大学 大学院工学研究科 准教授】 |
サブリーダー : |
宮山 卓也【アルバック・ファイ(株)分析室 室長】 |
中核機関 : |
京都大学 |
参画機関 : |
アルバック・ファイ(株) |
- T.開発の概要
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クラスターイオンを用いる二次イオン質量分析法により液体および固液界面の化学状態分析を実現する。開発により、100 Paの低真空下で液相が表面に存在する濡れた状態の試料の分析を可能とし、ガス雰囲気下の実用触媒やバイオ材料などの評価に適用することで、これまでの手法では得られなかった界面の化学状態に関する新たな知見が期待される。
- U.中間評価における評価項目
- (1)二次イオン質量分析法による液体および固液界面評価技術の開発
- ・低真空中へのプローブビーム引き出し技術の開発については、Arクラスタービームを使い30 Paの低真空下でもアクリル樹脂(PMMA)をスパッタできることを実証した。
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・ホロー型液体試料分析機構の開発については、ピンホール中の液体が気化熱により凍ることがないことを見出した。蒸気圧の低い液体を0.1 Paの低真空に導入することには成功している。
- (2)高輝度クラスターイオンビーム発生源の基盤技術確立
- ・大電流クラスターイオン生成技術の確立については、目標の電流密度300 μA/cm2を達成しただけでなく、ビーム径が数μmと集束しても目標値の電流密度を得ることができた。
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・クラスターイオン収束カラムの開発については、差圧3桁を達成(30 Paを実現) したが、ワーキング-ディスタンス(W.D.)の短縮のためにはレンズと差圧用のピンホールを一体型とする必要があり、そのためのレンズ設計を開始している。
- V.評 価
- クラスターイオンを用いて低真空下ではモデルサンプルによる固液界面における吸着分子の二次元イオンスペクトルの測定に成功している。しかしながら、提示された測定例ではクラスターイオンで固液界面の構造や分子イオンを測定するのではなく、試料表面の溶媒が次第に蒸発し変化していく過度状態を計測しているに過ぎない。今後、固液界面の何を測定するのかを明確にし、効率的・効果的に開発を推進すべきである[B]。
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