資料4

開発課題名「MSnスペクトルによる糖鎖構造推定ソフトウェアの製品化」

最先端研究基盤領域 実証・実用化タイプ

開発実施期間 平成25年10月〜平成27年3月

チームリーダー :  金澤 光洋【ライフィクス(株) 研究開発部取締役・研究開発担当】
サブリーダー :  天野 純子【(公財)野口研究所 研究部 室長】
中核機関 :  ライフィクス(株)
参画機関 :  (公財)野口研究所、工学院大学
T.開発の概要
 プロトタイプの開発で蓄積されたノウハウや、特許化された独自技術をもとに、国外のソフトウェアメーカーが圧倒的な力を持つ分析機器の解析プログラムの市場に、開発ソフトウェアをいち早く投入し、糖鎖解析のグローバルスタンダードとなる製品を提供する。
U.開発項目
(1)複数のプログラム言語で書かれたプロトタイプにおけるプログラムコードを単一言語に移植
 グラフィカルなユーザーインターフェース上で、マウスを用いた簡単な操作で単糖を配置しユーザーが糖鎖構造を描けるソフトウェアを構築。本機能を拡張し、後述のフリーソフトウェアにも応用している。また、プロトタイプで書かれた各機能を再検討し、C#のプログラムとして再構築した。各機能はメインプログラムから呼び出し可能なダイナミックリンクライブラリとして構築されており、メインプログラムの大幅な変更にも耐えうる仕様となっている。
(2)インターフェースの表示および操作性の確立
 メインプログラムの設計、および試作を何度となく行ったが、想定されるユーザーおよび入力データの構成が確定しないことから、最終形のUIが確定していない。展示会(JASIS)出品とユーザーへのアピールのために一度UIを組み上げたが、企業ユーザーのニーズとは全く異なるものであった。ユーザーの仕様が確定し開発済みのプログラムを統合する話が現実化すれば、3,4か月程度で構成が可能な状況にある。
(3)プロトタイプにおけるプログラムの性能向上
 NISTサーチのアルゴリズムを基本としたスペクトルマッチング機能に加えて、あらかじめ特徴の大きいピークのみを抽出したデータを用いて1stスクリーニングする独自の評価方式を採用した。各計算処理は、言語を置き換えることや並列化で、本数値目標(対プロトタイプ機の処理時間1 % (1/100)以下、および1スペクトルあたり10分以内での解析)を超える十分な高速化を行った。
V.評 価
 本課題は、質量分析による糖鎖のフラグメントデータを解析するソフトウェアの製品化にあり、開発は概ね達成したと言える。しかし、本ソフトウェアの想定されるユーザーである国内製薬企業では、質量分析装置を用いた糖鎖構造解析手法が一般化していないといった現状があり、まずは分析手法の認知度と有用性を広くPRするうえで、一部機能に特化したソフトウェアを無償で頒布することは賢明な選択であると思われる。高い完成度のソフトウェアをこれからの分野で先駆的に提供できることは国内の当該分析手法の活性化に大きく寄与できる可能性が期待される。
 本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。