資料4

開発課題名「質量分析用超臨界流体抽出分離装置の開発」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 機器開発タイプ

開発実施期間 平成24年10月〜平成27年3月

チームリーダー :  馬場 健史【九州大学 生体防御医学研究所 教授】
サブリーダー :  冨田 眞巳【(株)島津製作所 分析計測事業部 部長】
中核機関 :  大阪大学
参画機関 :  (株)島津製作所、神戸大学、宮崎県総合農業試験場
T.開発の概要
 臨床診断や食品の安全性検査などにおいて世界をリードするには、多検体のハイスループットスクリーニングを可能にする革新的な分析装置が必要である。本課題では、超臨界流体の特性を生かした自動多検体処理型抽出−分離密閉オンラインユニットを構築し、ハイスループット・高感度・高分離能の質量分析用超臨界流体抽出分離装置の開発を目指す。
U.開発項目
(1)SFC-MSシステムの開発
 圧力変動±0.01 MPa以下、保持時間再現性0.14 %RSD(n=6)、面積再現性0.44 %(n=6)、システム耐圧60 MPaと全ての数値目標を上まわる装置を開発し、最終目標を達成した。
(2)SFEシステムの開発
 抽出容器温度精密さ±1 ℃、システム耐圧60 MPaと数値目標を上まわった。48検体対応チェンジャ1万5千回搬送を繰り返しても異常ない装置を開発し、最終目標を達成した。
(3)オンラインSFE-SFC-MSプロトタイプの完成
 回収率95.03 %で、48検体対応チェンジャ1万5千回搬送を繰り返しても異常ないプロト機を開発し、最終目標を達成した。
(4)オンラインSFE-SFC-MSによるDBS中代謝物 分析条件の確立
 20種類の脂質分子種、4種類の親水性代謝物について分析再現性がCV値20 %以下となることを確認し、最終目標を達成した。
(5)SFE-SFC-MSによる残留農薬 分析条件の確立
 試料1 gにおける残留農薬測定値の変動係数を10 %以下に抑える粉砕法を確立した。また、508成分農薬の抽出条件、515成分農薬の分離・測定条件を確立し、最終目標を達成した。
V.評 価
 超臨界流体の特性を生かして、超臨界流体抽出(SFE)装置、背圧制御SFC装置を作製し、高分解能質量分析器(MS)と結合したSFE-SFC-MSシステムを開発するものである。開発は極めて順調に進捗し、SFE-SFC-MSシステムを上市することができた。
開発したシステムは、乾燥血液スポット(DBS)中の代謝物、残留農薬等の分離分析を通じてその有用性を実証し、複数の要素技術を国際特許出願して、競合技術に対する優位性を確保した。
今後は、学術研究成果の発表等を積極的に行い、ユーザーの更なる拡大に努め、市場開拓を加速することを期待する。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S] 。