資料4

開発課題名「微粒子光検出によるエキソソーム高精度定量技術の開発」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 要素技術タイプ

開発実施期間 平成24年10月〜平成27年3月

チームリーダー :  糸長 誠【(株)JVCケンウッド イノベーション戦略部 シニアスペシャリスト】
サブリーダー :  加部 泰明【慶應義塾大学 医学部 専任講師】
中核機関 :  (株)JVCケンウッド 
参画機関 :  慶應義塾大学
T.開発の概要
 疾患の種類あるいは状態に応じて体液中における分泌量が変化するエキソソームを高感度・高精度に定量計測する技術を開発する。エキソソームを粒子径 200 nmの機能性(磁気)微粒子によって標識し、エキソソームの選択的な捕捉が可能な微細構造を持つ機能性光ディスク上において、高速光ピックアップ走査によって1粒子単位で機能性微粒子を超高感度に計数し、エキソソームの高精度定量を目指す。
U.開発項目
(1)定量測定技術の確立
 検出濃度範囲2桁以上、相関係数0.98の線形性を有する精製エキソソームの定量測定技術を確立した。また、繰り返し測定検出精度(CV値)では、ディスク内誤差13 %、ディスク間誤差15 %であることを確認し、最終目標を達成した。
(2)機能性(磁気)微粒子の開発
 1個あたり1,280個(分子)の抗体を固定した機能性磁気微粒子を開発した。また、機能性磁気微粒子の投入から反応完了までのアッセイ所要時間が約5分の測定プロトコルを確立し、最終目標を達成した。
(3)光ディスク基板の確立
 機能性磁気微粒子の88.4 %を溝内に捕捉できる光ディスク基板を開発した。また、エキソソームと結合した微粒子検出信号の変調度0.79を得る条件を確立し、最終目標を達成した。
V.評 価
 抗体固定磁気微粒子を利用し抗体サンドイッチ法にてエキソソームを光ディスク上に捕集し、体液中エキソソームを計数する技術の開発である。開発は順調に進んでおり、バッファー中PSAと単離エキソソームを対象とする要素技術の数値目標は全て達成した。更に、プロトタイプ測定装置を作製するとともに、血清試料の前処理プロトコルを作成し、健常者と大腸がん患者の血清中エキソソームの数を計測する等興味深い予備的データも得ている。
 今後は、前処理時間の短縮や、バックグラウンド低減等の課題を解決し、医療現場の実試料による新たな医学的知見を得るべく、早期の実用化に向けた開発を着実に推進することを期待する。
 本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。