チームリーダー : |
吉村 徹【アボットジャパン(株) 診断薬・機器事業部 総合研究所 所長】 |
サブリーダー : |
野地 博行【東京大学 工学系研究科 教授】 |
中核機関 : |
アボットジャパン(株) |
参画機関 : |
東京大学、武蔵野赤十字病院 |
- T.開発の概要
-
1分子単位で標的抗原分子を検出できるデジタルELISA 法と、全自動免疫測定システムを組み合わせることで、超高感度かつハイスループットな自動デジタルELISA 検査システムの開発を行う。これにより、現在の診断で用いられている一般的な免疫測定法に比べ、約1万倍以上の感度向上が可能となる。本検査システムの開発によって、疾病・感染症の超早期診断や医療費負担軽減の実現が期待される。
- U.中間評価における評価項目
- (1)デジタルELISA試薬の開発
- デジタルELISAに適した酵素と基質の組み合わせ、ELISA反応に用いる検出抗体の調製に使用するクロスリンク試薬の最適化、及びELISA反応に用いる抗体固相化ビーズの調製方法について検討した。これら検討結果に基づいて、現状デジタルELIZAの基本性能を評価した結果、1fM濃度のサンプルのシグナルが0濃度サンプルのシグナルの2倍以上となる結果が得られた。その際の免疫反応完了から結果が計測されるまでの時間は1時間であった 。また、蛍光ドロップレットシグナルのバラツキ(CV)は1.7%以下であり、Wellあたりのビーズ充填率は50%以上(CV:10.8%)であった。いずれも当初の目標数値を達成している。
- (2)フェムトリットルチャンバーデバイスの開発
- 大量生産を目的としてデバイスのユニット化を図り、作製効率化を達成した。
- (3)自動測定装置の試作およびソフトウェアの検討
- 市販の自動ELISA装置、自動分注装置、プレートウオッシャー、プレートインキュベーター・シェーカーを導入し、システムとして問題なく作動することを確認した。さらに、顕微鏡システムを利用した自動解析装置ソフトウェアの開発に着手した。
- V.評 価
- 超高感度かつハイスループットな自動デジタルELISA検査システムの開発を目指しており、大部分の目標をほぼ達成し、開発は順調に進捗している。一方、類似の方式による競合機器の開発が行われている可能性があることから、開発を加速する必要がある。世界的な競争が激しい中、今後は、より高い目標の設定や共同研究開発者の適宜追加等を視野に入れ、実際のヒト検体による実証試験を通した早期の実用化に向けた開発を着実に推進すべきである。[A]
|