チームリーダー : |
井口 哲夫【名古屋大学 大学院工学研究科 教授】 |
中核機関 : |
名古屋大学 |
参画機関 : |
積水メディカル(株) |
- T.開発の概要
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ヒトに投与した極微量放射性炭素同位体(14C)標識化合物の体内動態を評価するための超高感度迅速14C分析装置の開発を行う。高感度14C分析に適したファイバーレーザーの開発と、それを用いたキャビティーリングダウン分光に基づく14C標識化合物分析により、14Cに対し検出感度0.1 dpm/mLを達成する。本装置開発により、医薬品開発早期でのヒト薬物動態評価が可能となり、医薬品開発の低コスト化とリードタイムの大幅短縮に貢献できる。
- U.中間評価における評価項目
- (1)14C試料分析プロトコルの開発
- 生体由来サンプルの前処理方法の最適化を検討した結果、試料導入・炭化処理ユニットにおいて、炭化率(炭酸ガス変換率)とダイナミックレンジの数値目標の達成に向けて、課題を見出した。
- (2)ファイバーレーザーベース光源の開発
- 光通信に用いられている波長帯であり、デバイスや技術が成熟している波長1.55 um帯に利得を有するEr添加ファイバーレーザーと、量子効率が高く高出力を得やすい波長1.05 um帯に利得を有するYb添加ファイバーレーザーの2種のファイバーレーザーをベースにしたシステムの開発を並行して進めた。その結果、いずれも数値目標(発振波長1.0〜1.6 um帯、繰り返し周波数50〜200 MHz、平均出力0.5 W、パルス幅1 ps以下)を達成することができた。
- (3)同位体分析用光源−CRDS分析装置の開発
- 安定に動作する分光セル(安定化光共振器)の開発を行い、設定した小型化目標をクリアするプロトタイプの設計案を示すことに成功した。
- V.評 価
- 本課題では、ヒトに投与した極微量放射性炭素同位体(14C)標識化合物の体内動態を評価するマイクロドーズ試験法の高度化に向けた超高感度迅速14C分析システムの開発を行うことを目的としている。開発は順調に進展しており、競合技術製品である加速器質量分析装置に比べて、安価でコンパクトな14C分析装置の開発が期待される。今後は、検出感度の更なる向上と高スループット化に留意し、早期の実用化に向けた開発を着実に推進すべきである[A]。
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