資料4

開発課題名「超高感度テラヘルツ波NMR装置の活用・普及促進」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 開発成果の活用・普及促進

開発実施期間 平成23年11月〜平成26年3月

チームリーダー :  藤原 敏道【大阪大学 蛋白質研究所 教授】
サブリーダー :  出原 敏孝【福井大学 遠赤外領域研究開発センター 特任教授】
中核機関 :  大阪大学
参画機関 :  福井大学
T.課題の概要
【装置】
 本プログラム「機器開発タイプ」において開発した高分解能固体NMRの感度を550倍向上させる高磁場動的核分極法(DNP)装置を開放(共同利用)する。この装置は、DNP法としては世界最高磁場14.1Tと最低温度30Kでの試料回転が可能であり、周波数可変ジャイロトロンで容易に高出力テラヘルツ波照射条件を最適化できるなど世界最高性能を持つ。
【内容】
 本高感度NMR装置を開放(共用)することにより、生体高分子および細胞内での生体分子の立体構造決定、材料構造解析、微量化合物・医薬品の分子構造解析などへの応用が期待される。
U.評価項目
(1)共用装置の活用状況
 共用稼働日数は、2.5年間で累計177日であり 目標(180日)を僅かに下回った。内訳は、内部利用:累計15件、外部利用:累計20件、であった。
(2)成果発表
 チームの成果発表は、学会発表18件、論文発表4件であり、最終目標(合計15件)を上回った。共用先との成果発表は、学会発表4件、論文発表3件で最終目標(合計5件)を達成した。
(3)その他の成果
 高感度NMR装置を共用する過程で、プローブ部分の試料高速回転、高出力テラヘルツ波照射の効率的手法、及び、極低温維持のためのヘリウムガス循環など、多くの改良を加えて、高磁場DNP-NMRとして世界最高クラスの高度化を達成できた。
V.評 価
 本課題は、機器開発タイプで開発した高磁場DNP-NMR装置を共用に資するもので、極低温、超高速回転、高出力テラヘルツ波照射等によって、従来より500倍以上の高感度で計測できる世界最高水準の性能を持つNMR装置を、他の研究機関や産業界等外部への活用、普及促進を図ったものである。
 本装置を用いた共用の目標は概ね達成されており、測定感度向上に適した試料調整法など外部研究者との活発な検討も行われている。更に共用を進める過程で本装置に改良を加えて世界最高水準までに性能を引き上げており、本装置の製品化、実用化にも寄与している。今後も本装置の普及促進に努め、大いに活用されることを期待する。本課題は、当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。