資料4

開発課題名「顕微質量分析装置の活用・普及促進」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 開発成果の活用・普及促進

開発実施期間 平成23年11月〜平成26年3月

チームリーダー :  早坂 孝宏【浜松医科大学 医学部 解剖学講座 細胞生物学分野 特任助教】
中核機関 :  浜松医科大学
参画機関 :  (財)がん研究会、慶應義塾大学、関西医科大学
T.課題の概要
【装置】
 本プログラム「機器開発タイプ」において開発した、形態情報と質量分析情報を組み合わせた新しい分析手法である顕微質量分析装置を広くユーザーに対し開放(共同利用)する。本装置は、高解像度顕微鏡と質量分析装置を組み合わせることで、医学・ライフサイエンス分野や材料開発の分野において、さまざまな事象の解明に寄与するものである。
【内容】
 光学像と質量分析情報を組み合わせた解析装置をユーザーに開放・共用することにより、これまで有用性を実証してきた医学研究や診断の他にも、創薬開発、さらには有機材料解析・検査などの分野での利用も期待される。
U.評価項目
(1)共用装置の活用状況
 共用稼働日数は、累計300日であり 最終目標を上回った。
年間利用度は、”内部利用”が累計82日、14件、”外部利用”が累計280日、26件、であり、どちらも最終目標を上回った。
(2)成果発表
 チームの成果発表は、学会発表17件、論文発表7件、プレス発表10件であり、最終目標を大きく上回った。また、神経伝達物質イメージングの成果により学会奨励賞を受賞した。共用先の成果発表は、学会発表10件、論文発表2件であり最終目標には達しなかった。
(3)その他の成果
 検出シグナル分析のための分析補助データベースを整備し、検出シグナル解析に活用した。また、共用ユーザー試料より、新規検出分子を20個発見し、総計136件のデータベースを構築した。
V.評 価
 本課題は、機器開発(瀬藤チーム)、プロトタイプ実証・実用化(小河チーム)およびソフトウェア開発(松浦チーム)の成果である質量顕微鏡の普及・促進を図ったものである。
 目標に掲げた共用の活動状況(稼働時間、年間利用度合)は、全て最終目標を上回った。成果発表は、チームが成果普及に最も有効な手段と考えていたこともあり、学会発表、論文発表ともに最終目標を大きく上回る実績を挙げた。
 また、その他の成果として、新しいマトリックスとそれを蒸着する装置を開発し、共用ユーザーからのフィードバックにより装置の操作面が大幅に改良された。質量スペクトルのピーク同定の為のデータベースも整備され、新規検出分子のデータベース化も進んだ。
 本課題は当初の目標を十二分に達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する。今後は、医療関係以外への普及も期待できる[S]。