資料4

開発課題名「小型光ファイバ接続型広帯域波長可変レーザ装置の実用化開発」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 実証・実用化タイプ

開発実施期間 平成23年10月〜平成26年3月

チームリーダー :  野田 一房【(株)雄島試作研究所 代表取締役社長】
サブリーダー :  音 賢一【千葉大学 大学院理学研究科 教授】
中核機関 :  (株)雄島試作研究所
参画機関 :  千葉大学、スペクトラ・クエスト・ラボ(株)
T.開発の概要
 本プログラムは「要素技術タイプ」で開発した成果をもとに、キャリーバッグ程度の小型でありながら、チタン・サファイアレーザを代替する、高出力・広帯域波長可変レーザ計測装置の実用化開発を目指す。光源には、曲り導波路チップを用いたLittman型配置で、ハーフミラーを用いて出力をとりだす新機構の外部共振器型半導体レーザを用いる。コンピューター制御下に高速スキャニングと連続波長チューニングを可能とし、光ファイバー出力とすることで、小型でありながら使いやすい最先端レーザ分光計測装置を提供する。
U.開発項目
(1)光ファイバー接続技術の開発
 ポインティング安定性やビームスライドなど転置Littman配置に固有の技術課題を克服し、安定なファイバー結合を実現している。色収差補正光学系に加え、より簡便な色収差補正やファイバー結合許容度の向上、楕円ビームへの対応が可能なコア拡大(TEC)偏波保存ファイバーの開発により、波長可変域全域においてファイバー結合効率50%を達成している。
(2)高速スキャニング技術の開発
 圧接スライダーのネジピッチの変更(1 mm→2 mm)、ギアー比の変更、(50→30)、更には一定速度掃引(Max:30,000 pps)から台形速度制御(Max:300,000 pps)への変更により15 nm/sec.のモード・ホップ・フリーの波長掃引速度を達成している。
(3)装置の小型化
 オールインワンパッケージ化については市場ニーズ、並びに操作性を考慮し、ヘッドとコントローラーは個別にしたほうが市場に受け入れやすいと判断したため、オールインワンパッケージ化は中止しているが、目標の装置サイズは十分に達成している。
(4)波長帯域の拡大
 1.8 mm SLDチップの採用により1040 nm帯波長可変レーザの波長掃引範囲を130 nm(960〜1090 nm)に拡大している。950 nm帯においても100 mWを越える出力と80 nm(910〜990 nm)の波長同調領域を達成し、目標を達成した。
V.評 価
 本開発では、光源には、転置Littman型配置の曲り導波路構造の高出力半導体レーザチップに安定した光ファイバー接続を可能とする新機構を採用することにより、高出力・広帯域波長可変で小型の外部共振型レーザ装置を実用化することを目的としている。光ファイバー接続技術開発、高速スキャンニング技術開発、装置の小型化と波長帯域の拡大に関する各目標値をすべて達成しており、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと考えられる[A]。