資料4

開発課題名「広光波長帯域・高感度・高信頼性撮像素子の開発」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 要素技術タイプ

開発実施期間 平成23年10月〜平成26年3月

チームリーダー :  須川 成利【東北大学 大学院工学研究科 教授】
中核機関 :  東北大学
参画機関 :  ラピスセミコンダクタ宮城株式会社、株式会社島津製作所
T.開発の概要
 原子レベルで表面が平坦化されたシリコンを用い、波長200〜1100nmの広光波長帯域で、非冷却で1光子レベルを検出可能な高い感度と、紫外光照射に対する感度劣化と暗電流増加が抑制された高い信頼性を有する、広光波長帯域・高感度・高信頼性光センサと、それを利用した撮像素子を開発する。本開発により、各種分光分析機器の検出部の高精度化・長寿命化が可能となり、また紫外光を用いた高速撮像への応用が期待される。
U.開発項目
(1)広光波長帯域・高感度・高信頼性リニアアレイセンサ
 受光部を7領域に分け、受光する光波長帯域に対して高い透過率を有する積層膜を各領域ごとに作り込み、200-800nmの帯域で平均値73%、最小値50%の外部量子効率を達成した。帯域800-1100nmについても50%以上の外部量子効率を確認した。また、紫外光照射耐性(製品寿命10 年換算の紫外光照射後)を評価し、感度劣化10%以下、暗電流増加1.5倍以下であることを確認した。
(2)広光波長帯域・高感度・高信頼性二次元撮像素子
 画素数1280×960の試作品において、帯域200-1100nmの照射光に対して目標とする光検出性能を確認した。また、紫外光照射耐性についても、感度劣化10%以下、暗電流増加1.5倍以下であることを達成した。
V.評 価
 本課題は、紫外光領域を含む波長200〜1100nmの広い帯域にわたって、高い感度と高い信頼性を有するフォトダイオードや二次元撮像素子の開発を目指すものである。その目的のために、シリコンの超平坦化技術、透過膜の積層成膜技術、光感度向上技術、紫外光照射耐性強化技術、集積化技術など数多くの技術開発を行い、それらを統合して当初計画の画素数や目標性能を超える成果を達成した。実用化を視野に入れた緻密な開発計画の下で開発を着実に進め、開発終了後の製品化や応用展開にも既に幅広く取り組んでいるなど、チームリーダーのリーダーシップは高く評価できる。本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S]。