資料4

開発課題名「熱−熱外中性子用高効率シンチレータ検出器の開発」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 要素技術タイプ

開発実施期間 平成22年10月〜平成26年3月

チームリーダー :  渡辺 賢一【名古屋大学 大学院工学研究科 准教授】
中核機関 :  名古屋大学
参画機関 :  九州工業大学
T.開発の概要
 本課題では、中性子断面積の大きなリチウムを含んだ中性子用シンチレータ結晶の高品質化・大型化とシンチレーション発光特性の違いを利用した信号波形処理法に基づく中性子−ガンマ線弁別法の開発を進めることにより、熱中性子および熱外中性子に対し高い感度を持ちつつ、ガンマ線起因の信号を除去可能な中性子検出器を実現する。
U.開発項目
(1)中性子−ガンマ線弁別可能な高効率中性子検出技術の確立
 30keV域の中性子に対して1 cps/(μSv/h)以上の中性子感度を有することを確認した。また、ウェーブレット変換法を用いて2.6×10-8というガンマ線/中性子感度比を確認し、目標値を上回る性能を達成した。
(2)結晶の大型化・高品質化
 Ce添加LiCaAlF6結晶成長技術を開発し、大型化(2インチ×4cm以上)と高品質化(XRC 半値幅 200 arcsec 以内)を達成した。
V.評 価
 本課題は、従来の中性子検出器の問題点(Heの供給逼迫、機器の重量・大きさ)を解決することを目的とし、Liを用いた高感度固体シンチレータの開発と、その際に必要となるγ線と中性子線の弁別技術を開発するものである。多くの材料候補の中からCe添加LiCaAlF6結晶を選択し、その結晶成長技術の開発を行い、結晶の大型化と高品質化を実現した。本結晶を用いた中性子照射実験において、目標とする中性子検出感度とガンマ線/中性子感度比を確認した。さらに、要素技術タイプの課題でありながら、本結晶を用いた中性子検出プロトタイプ機を作製し、従来の装置に比べて大幅に小型化・軽量化できることを実証した点は高く評価できる。今後は本開発成果が製品化へつながることを期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S]。