資料4

開発課題名「疾患遺伝子探索用の病態モデル細胞作成・解析技術の開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  村田 昌之【東京大学 大学院総合文化研究科 教授】
サブリーダー :  武田 一男【(株)オンチップ・バイオテクノロジーズ 開発部取締役 開発部長】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  (株)オンチップ・バイオテクノロジーズ
T.開発の概要
 先端計測技術をサポートする新規の細胞側システムと、その作製をサポートするデバイスを開発する。提案者が開発したセミインタクト細胞リシール法を用い、病態細胞質環境をもつ「病態モデル細胞」を作製する。その細胞システムを用い、時系列的な遺伝子解析を行うことにより、病態発現「初期」に発現が変動する遺伝子群を同定し、細胞機能攪乱を指標にその遺伝子機能を検定する。最終的に、汎用性のある創薬・診断支援システムとしての「病態モデル細胞」の開発を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)ストレスセンサー細胞株樹立
 ストレスによって蛍光を発するストレスセンサー細胞を分取するストレスフリーセルソータ装置について、回収細胞数の増大と処理速度増大を改善し、細胞生存率95 %以上をほぼ達成した。また、コロニー単離法を用いて、MIN6細胞とH4IIEC3細胞のストレスセンサー細胞株の樹立ができ、目標を達成した。
(2)ストレスセンシング病態モデル細胞構築
 MIN6細胞とH4IIEC3細胞のストレスセンサー細胞を用い、セミインタクト細胞リシール法による正常または病態モデル細胞を作製し、リシール効率90 %以上、リシール後の生存率80 %と目標値を達成した。ストレスセンシング病態モデル細胞を用いた遺伝子発現変動解析を行った結果をもとに、糖尿病態発現に関わる遺伝子を2種類同定し、目標を達成した。
V.評 価
 病態モデル細胞をシステマティックに作製し、疾患関連遺伝子を抽出するという早期診断や創薬の汎用ツールとなる細胞工学技術を開発するプロジェクトである。ストレスセンサー細胞作製技術とセミインタクト細胞リシール技術を用いて、「ストレスセンシング病態モデル細胞」を従来のコロニー単離法で開発するサブテーマは、目標の大きく上回る成果を挙げ、既に生物医学的に重要な遺伝子を同定することに成功し、本方法の有効性を示した。しかし、本方法を自動化する上で重要なストレスフリーセルソータおよび細胞チップについては、開発を急ぐ必要がある。今後も開発を着実に推進すべきである 。[A]


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