資料4

開発課題名「ラボベース軟X線光源用大開口・回転体集光ミラーの開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  三村 秀和【東京大学 大学院工学系研究科 准教授】
サブリーダー :  橋爪 寛和【夏目光学(株) テクノロジーセンター 所長】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  夏目光学(株)
T.開発の概要
 高輝度ラボベース軟X線光源を最大限活用するためには、発散するX線を集めることができる大開口・回転体X線ミラーが有効である。しかし、理想的なX線ミラーには、シングルナノメートルの極限の精度が必要であるため実現されていない。本課題では、3次元ナノ精度加工、常温電鋳法、3次元形状評価法、追加成膜形状修正法を開発することにより、理想的な性能を有する回転体軟X線集光ミラーを世界にさきがけて実現するとともに、将来の軟X線顕微鏡開発を視野に入れ、X線ミラーの設計・作製・評価を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)3次元ナノ精度加工技術の確立
 EEM(Elastic Emission Machining)加工装置を製作し、円柱形状の形状修正加工に成功した。加工性能を評価した結果、直径5〜10 mmφ、長さ40 mmの回転体形状において、形状精度は100 nm(P-V)、表面粗さは0.14 nm (RMS)を達成していることを確認した。
(2)3次元ナノ精度転写技術の確立
 常温電鋳装置を作製し、高精度転写に不可欠な常温下での電析において応力フリーの条件を見出し、マンドレル(マスター)の高精度形状転写が可能であることを確認した。転写性能は、5〜10 mmφ、長さ40 mmの回転体形状において、転写精度として100 nm(P-V)レベル(真円度評価)、表面粗さとして0.3 nm(RMS)(円錐台形状)を確認した。また、軟X線集光用回転楕円ミラーを試作し、形状精度として100 nm(P-V)を確認した。
V.評 価
 X線集光用ミラーに関しては、硬X線用にはK-B(Kirkpatrick-Baez)ミラーが開発されているが、実験室レベルで使える軟X線用として提案されている各種ミラーについては、精度に問題があり実用に到っていない。本課題は、軟X線集光用回転楕円体ミラーの加工精度を飛躍的に向上させることを目指し、マンドレル加工技術、電鋳法による転写技術、内面形状修正技術を開発するものである。マンドレル加工と転写技術については、当初の中間目標値を十分達成しており、開発は順調に進んでいる。今後は、軟X線集光性能の早急な評価を行い、最終目標へ向けて技術開発を着実に推進すべきである。[A]


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