資料4

開発課題名「サブテラヘルツ帯アクティブイメージング用照明系の開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  松山 賢【東京理科大学 総合研究機構火災科学研究センター 准教授】
サブリーダー :  清水 直文【日本電信電話(株) マイクロシステムインテグレーション研究所 マートデバイス研究部 主任研究員】
中核機関 :  東京理科大学
参画機関 :  日本電信電話(株)
T.開発の概要
 煙・熱による過酷な環境下である火災現場において、建物内の目標地点を容易に可視化する技術が確立されれば、よりスムーズな救助・検索および消火活動の実現が期待できる。サブテラヘルツ帯電磁波は、煙霧中で透過性が高く、煙の立ち込めた地点の可視化に最適な電磁波である。従来、この周波数帯はパッシブイメージングが主流であったが、火災現場においては高温の物質や煙が熱輻射源として支配的であるため、明瞭な被写体の像を得ることが困難であった。この課題の解決にはアクティブイメージングが必須であり、本課題では、そのキーコンポーネントである、低干渉性で十分な輝度を有する照明用テラヘルツ波発生器の開発を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)模擬煙霧環境下でのサブテラヘルツ波の透過特性解析
 模擬煙霧環境再現装置(1 m×40 cm×10 cm)の開発を行い、粒子径0.2〜100 μmの粉体の浮遊を確認した。ドライミストについても、粒子径0.1〜1.0 μmの発生を可能とした。また、サブテラヘルツ帯透過特性評価系を構築し、周波数帯域100〜1150 GHz、周波数分解能1GHz以下、周波数掃引時間0.035 sec/GHzの性能を達成し、サブテラヘルツ波の煙霧環境下での透過特性評価に適用可能であることを実験により確認した。
(2)インコヒーレント信号発生用光回路開発
 インコヒーレントサブテラヘルツ波信号発生用の光回路を開発し、特性を評価した結果、中心周波数100-1150 GHz(可変)、帯域幅30-550GHz(可変)、最大出力-10.66 dBmを達成した。また、フォトミキサのアレイ化がテラヘルツ波信号源の高輝度化に有効な手法であることを、2台のフォトミキサのテラヘルツ波のプロファイル測定により実証した。
V.評 価
 本課題は、サブテラヘルツ領域の照明光源を開発し、火災現場で使用することで煙霧などのために見えなくなった物体をテラヘルツカメラ等で見ることができるようにすることを目指している。まずは、人工的な煙霧実験環境の構築および、インコヒーレントな単一光源とその評価回路の製作を行ってきた。中間目標項目を全て達成しており、次のステップである光源アレイ化へ向けての準備作業も行われており、開発は順調に進んでいる。THzカメラ開発者との連携を密にし、実用化を視野に入れて最終目標へ向けた技術開発を着実に推進すべきである。[A]


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