資料4

開発課題名「プラズモンセンサを用いた埋もれた界面計測技術の開発」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  本間 敬之【早稲田大学 理工学術院 教授】
サブリーダー :  三田 正弘【(株)協同インターナショナル 電子技術部 次長】
中核機関 :  早稲田大学
参画機関 :  (株)協同インターナショナル
T.開発の概要
 材料・デバイスの最表面から界面までの分子構造や化学反応を、簡便かつオングストロームレベルの極めて高い深さ分解能で計測する手法の開発を目指す。特に他の手法では困難な、固液界面における静的および動的その場観察を0.1 nmの深さ分解能で実現することを目指す。本手法は非常に汎用性に優れ、精密めっきプロセス、蓄電池や燃料電池の電極反応の解析をはじめ、太陽電池、触媒合成、光触媒、各種半導体デバイスなどにおける材料開発や反応プロセス設計の高度化、さらには細胞膜観察などを通じてバイオ分野における医薬品開発にも応用が期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)深さプロファイル検出技術の確立
 精密送り機構は2段ピエゾステージおよびクローズループピエゾステージにより、送り分解能0.05 nmでの駆動を確認した。また、精密モニタ機構は変位計からのフィードバックにより、ドリフトを0.1 nm以下に抑え、グラファイトの周期および単層グラフェンの厚さの測定に成功した。
(2)スペクトル検出感度向上技術の確立
 透過型センサー開発は高感度CCDにより8倍の感度向上に加え、センサレベルで薄型化により10倍以上のDLC(Diamond Like Carbon)のGバンド強度の増強効果を確認した。センサーのプロセス技術においても応力法をはじめとする新規技術の開発に成功した。 また、反射型センサー開発は785nmの長波長化および、中心溝径の微小化などにより、感度(電界強度の4乗)として合計7倍程度の向上が達成できる見通しを得た。
(3)固液界面測定実証
 液体セル(電気化学反応用)開発は反射型センサーを用いて、固液界面におけるCu表面上の還元剤分子(ヒドラジン、次亜リン酸)およびAu表面上の添加剤分子(JGB)の計測に成功した。さらに1 nm領域での吸着分子のスペクトル変化を確認した。 また、液体セル(Liイオン電池用)開発は透過型センサーを用いて、グラファイト陰極およびLiCoO3陽極の表面近傍の計測に成功し、表面近傍は非晶質化していることを明らかにした。
V.評 価
 プラズモンセンサを用い、界面の化学構造をサブナノメートルの分解能で明らかにするための装置開発である。数値目標は達成されており、特許申請、論文発表も行われ、開発は順調に推移している。今後は、振動や温度変化による影響を早急に取り除く対策を行うとともに、固液界面やLiイオン電池、その他の界面の研究者との連携を図りながら、面内分解能のさらなる向上を目指し、また、実試料で高い深さ分解能が活かされる例を示すことで本技術の有効性を実証することが望まれる。今後も開発を着実に推進すべきである 。[A]


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