資料4

開発課題名「エネルギー認識型X線画像検出器開発と機能材料3次元局所分布分析への展開」

(平成24年度採択:一般領域 要素技術タイプ)

チームリーダー :  豊川 秀訓【(公財)高輝度光科学研究センター 制御・情報部門 主幹研究員】
サブリーダー :  末永 敦士【豊和産業(株) 取締役】
中核機関 :  (公財)高輝度光科学研究センター
参画機関 :  豊和産業(株)、宇宙航空研究開発機構
T.開発の概要
 白色X線回折は結晶方位を調整しなくても簡便に回折光を捉えられるという利点があるにもかかわらず、放射光実験への応用は限定されており、精密構造解析には通常単色X線が使われている。本開発では、強度のみならずエネルギーの空間分布を同時に測定できるエネルギー認識型画像検出器を開発することによりこの常識を覆し、白色X線マイクロビームによる精密構造解析法を開拓する。これにより、電子線や単色X線の利用技術では困難であった材料特性の不均一性を評価するための多結晶組織の3次元顕微観察技術の確立を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)小型試作機用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)の製作と性能評価
・アナログ信号処理回路
 窓型コンパレータの実装についてはテストパルスを用いて動作を確認済み。10〜163 keVの範囲のX線がテルル化カドミウム(CdTe)半導体で生成されるチャージキャリアに相当するテストパルスによるエネルギー校正から数値目標より広範囲で良好な線形性が得られている。
・デジタル信号処理回路
 カウンタ回路については計画通り、リップルカウンタを実装し、テストパルス及びX線を用いた動作確認が済んでいる。併せてコンパレータを2段ないし3段で機能させる測定についても動作確認済みである。
(2)実装試作機の製作
 基本性能について、エネルギー範囲20〜150 keVはテストパルスの結果より実効的に良好な線形性が得られていると評価できる。検出効率60 %@100 keVも達成している。
 一次試作機は750 μm厚のCdTeウエハーに170 μm角のアルミ電極を30μmのギャップで並べることでピクセルサイズとして200 μmのX線センサーを製作した。また、読み出し集積回路としては、TSMC 0.18 μmプロセスを用いることで、上記のアナログ及びデジタル信号回路を200μm角の領域内に実装した。
V.評 価
 CdTeを用いたエネルギー認識型X線画像検出器の開発に必須なセンサー技術、読み出し集積回路技術、実装技術をシステム的に構築し、小型試作機を使った予備実験を順調に行っている。ピクセルサイズ、ピクセル数、エネルギー範囲、検出効率ともほぼ目標を達成している。今後、画像取得を急ぐことに注力し、開発を着実に推進すべきである。 [A]


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