資料4

開発課題名「生細胞ナノ空間構造解析用Cryo-FLM-in lens-S(T)EMの開発」

(平成24年度採択:一般領域 機器開発タイプ)

チームリーダー :  臼倉 治郎【名古屋大学 エコトピア科学研究所 教授】
サブリーダー :  二村 和孝【(株)日立ハイテクノロジーズ 事業戦略本部 科学システム事業戦略部 部長】
中核機関 :  名古屋大学
参画機関 :  (株)日立ハイテクノロジーズ、日本女子大学
T.開発の概要
 本開発では、タンパク質分子の細胞内その場構造解析とそれら複合体の空間構造解析をするため、次世代Cryo-FLM-in lens-S(T)EMを開発する。本装置では、凍結試料の明視野、暗視野高分解能STEM像、表面の二次電子像、反射電子像の極低温同時記録、およびこれに対応する蛍光顕微鏡像が取得できることを目標としている。本装置は、生命現象、病気の成因の解明のために不可欠であり、医学生物学分野での利用はもとより、創薬、化粧品、食品の分野においても利用が期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)クライオトランスファーホルダーの試作
 アームの先端近傍まで二重パイプ化し、液体窒素の導入パイプとガス化窒素を抜くパイプをアーム内に組み込んだことにより、真空下での実測値は-170.9℃となり、数値目標を達成した。
(2)アンチコンタミネーショントラップの試作
 アームをパイプ化し、液体窒素を先端部まで導入できるようにした結果、液体窒素注入後約3分で-186 ℃に到達し、中間目標値を上回り最終目標値を達成した。
(3)真空蛍光顕微鏡の試作
 光学顕微鏡と電子顕微鏡では試料作製法が異なるため 画像の相関を取ることが難しい。そこで、電子顕微鏡内で試料の載ったグリッドから蛍光像を取得するため電顕に取り付け可能な真空蛍光顕微鏡を試作した。
 像分解能は、計算値として0.55 μmを示し、数値目標を上回った。また視野は、電顕観察領域全てを観察可能であり目標を達成している。
V.評 価
 細胞の微細構造を生きたままの状態でマルチモーダルに観察したいというニーズに応えるクライオ電顕−光顕システムの開発である。 開発は極めて順調に進捗しており、中間評価の目標を十二分に達成し、且つ、来年度の応用研究を前倒して実施し、生物学的に意味のある新たなデータを取得しつつある。
 今後は、クライオ電顕−光顕の複合化のメリットを明確に示すとともに、細部にわたる工夫を積み重ね、画像解析のソフト開発も推進する等、現場ニーズに沿った装置の開発を目指して着実に推進すべきである。[A]


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