| チームリーダー ： |
宮﨑 信之【日本放射線エンジニアリング（株） つくば研究室 取締役 研究室長】 |
| 中核機関 ： |
日本放射線エンジニアリング（株） |
| 参画機関 ： |
(独) 日本原子力研究開発機構
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- Ⅰ．開発の概要
- プラスチックシンチレーションファイバーを用いて、0.1μSv／h以上汚染した10m×10mの区域を10分間で表面汚染測定できる装置を開発する。従来の装置では、電源・各種モジュール・操作用パソコンなどと連携して使用するため、非常に使いづらく重いものとなっている。本開発において、装置の軽量化、可視化、利便性の向上を行うとともに周辺機器の開発を行い、公園・河川敷などの汚染分布２次元マッピングや、これまで測定が難しかった河川などの水中汚染分布測定が可能となる。
- Ⅱ．開発項目
- （１）ＰＳＦ（プラスチックシンチレーションファイバー)高性能化
- ファイバーの高感度化及び位置分解能向上を目指して開発を行った結果 感度は、2㎜φ10本バンドル10mファイバーにおいて約70s-1/μSv/h/50cmを達成 本ファイバーでの位置分解能は約45㎝となり効率向上は達成した。電子走行速度の速い光電子増倍管及び1㎜φ19本バンドル10mファイバーにおいて、効率は、約8s-1/μSv/h/50㎝ 位置分解能約40㎝である。効率を重視すると2㎜φファイバーの使用が必須であり、この場合電子走行速度の速い光電管光電面径(8㎜φ)では、面積不足となる事、現地にて30㎝の分解能は必要無い事から、高感度型ファイバーを重視して製作した。現地では、汚染スポット面積がある程度大きいことから高感度型にて十分な性能であると判断した。
現状移動速度は、約5㎝/秒またデータ解析ソフトにて5秒/1データにてサンプリングしている。この場合のファイバー全長における検出限界を算出した場合、0.011μSv/hとなり0.1μSv/h以上の場の測定では、十分な感度である事がわかった。10mの測定時間は、約200秒であり、十分な結果となった。
- （２）測定部の一体化開発
- 測定部に関して、試作品の現場デモンストレーションの経験から 防滴構造、電池駆動、接続ケーブルの削減等のニーズがあり、当初予定から大幅な変更となったが、製作した測定部寸法は、20㎝(W）×22.5㎝(D)×12.3㎝（H）となった。目標値と容積にて比較すると目標値9000cm3に対し 容積5535 cm3となり約40％の容積削減となった。重量は、上記ニーズ反映した結果4.1Kg（電池含む）となり、軽量化も達成できた。さらに、複合ケーブルの製作、複合ケーブル用特注コネクタ、電池にて約12時間駆動可能と現地にて使いやすい測定部が完成した。また基板に関しては、試作を実施し、十分な性能を持った基板が完成した。
- （３）現地での検証
- 平成24年6月から平成25年2月にかけて福島県内の6箇所の現場で、主に除染前後の状況を測定した。
- Ⅲ．評 価
- 放射線源の位置計測を可能にしたプラスチックシンチレーションファイバー(PSF)を用いて、簡便な測定および水中での計測も可能にした軽量小型放射線計測システムを開発した。位置分解能は目標に届かなかったが、PSFの高性能化、測定部の一体化とフィールドテストにおいて、目標を達成している。プロトタイプ機を利用して、福島県内各所で行政機関や研究機間と協同で試験が実施され、汚染状況の把握や除染の効果確認に効果を上げていることは特筆に値する。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する［Ａ］。
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