資料4

開発課題名「ガス電子増殖による新型光検出器の開発」

一般領域 要素技術タイプ

開発実施期間 平成21年10月〜平成25年3月

チームリーダー :  門叶 冬樹【山形大学 理学部 教授】
中核機関 :  山形大学
参画機関 :  首都大学東京、浜松ホトニクス(株)
T.開発の概要
 古くて新しい放射線検出器の1つであるガス検出器と、紫外から可視光波長領域に高い感度を持つ光電変換膜とを複合化させた「ガス増倍型光検出器」を開発する。従来の光センサーである光電子増倍管や半導体受光素子と比較して、広い有効面積、高い感度特性と均一性とを兼ね備え、かつ高磁場環境下においても動作可能な新しい高感度光センサーを開発し、学術研究のみならず幅広い分野での産業利用につなげることを目指す。
U.開発項目
(1)広い受光面積を持つフラット・ピクセル光検出器の開発
 光電面素材としてCsIおよびバイアルカリ光電面を使用したガス光電子増倍管を製作し、紫外光および可視光領域での動作を確認した。バイアルカリ光電面と細孔型MPGD(マイクロパターンガス検出器)からなる2インチ光電子増倍管において、時間分解能8.8ns、電子増殖度104を得た。また、陽極ピッチ3mm、有効受光面積50mm×50mmのフラット・ピクセル光検出器を開発し、ルーメン感度22μA/lm、磁場環境(1テスラ)での出力52%、という特性を得た。
(2)高空間分解能を持つガス電子増殖光検出器の開発
 感光性ガラス及びガラスキャピラリープレートからなる、50μmφ、63μmピッチの細孔をもつ細孔型MPGDを開発し、受光面積20mmφのガス光電子倍増管としての動作確認をした。時間分解能8.8ns、電子増殖度104であった。CsI光電面と細孔型MPGDで構成されるガス光電子倍増管の分光特性から、陰極感度1.4mA/W、ルーメン感度35μA/lmを得た。
V.評 価
 従来の光センサーである光電子増倍管やCCD/CMOSなどに比べて大口径化、磁場耐性、低価格化など多くの可能性を持ち、紫外光から可視光までカバーするガス増倍型光検出器の開発をめざす課題である。細孔型とメッシュ型の二つのタイプのMPGDを開発し、それらを組み合わせることでイオンフィードバックや光フィードバックの抑制という技術課題を解決し、大面積用と高分解能用の二種類のガス増倍型光検出器を開発してそれぞれの目標を達成した。今後は、メーカーが主体となって本開発成果を製品化していくことを期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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