資料4

開発課題名「半導体局所プラズマ加工装置の開発」

(平成21年度採択:プロトタイプ実証・実用化タイプ)

開発実施期間 平成21年4月〜平成24年3月

    
チームリーダー :  加藤木 克也【(株)三友製作所 代表取締役社長】
サブリーダー :  清水 哲夫【産業技術総合研究所 ナノシステム研究部門 主任研究員】
中核機関 :  (株)三友製作所
参画機関 :  産業技術総合研究所
T.開発の概要
半導体メーカー等への需要調査に基づき、半導体不良解析のためにシリコンやその酸化膜を局所的にエッチングできる装置の開発に成功した。その開発過程で、プラズマガスを細い管に吸い込むと局所エッチングレートの向上および残渣を低減できることを新たに見い出した。本開発では、この新方式を採用した半導体局所プラズマ加工装置の実用化に向けた開発を行う。
U.事後評価における評価項目
(1)絶縁膜の自動エッチング
 自動でエッチング条件を制御して絶縁膜のエッチングを可能とすることを目標に、シリコン酸化膜と有機膜について加工直径、加工深さ、加工誤差精度、加工時間の関係を調べた。その結果、±1%程度の精度で絶縁膜の自動エッチングが可能であることが判り、これらの基礎データとユーザー要望により、装置の加工に関する基本仕様を確立した。
(2)不良解析用の試料作製で必要となるトレンチ加工
 シリコン基板について70μm深さのトレンチ加工を確認できた。また、加工深さの精度10%以下を確認した。現在の絶縁膜における1層あたりの厚さがサブミクロンであることから,この数値は十分なものである。
(3)その他
上記の他に、吸引型局所プラズマエッチング用RF電源として50W以下を達成し、100nm以下の配線ルールで作製されたデバイス中の金属配線を断線させること無く露出させることも確認できた。ガスを吸引しながらプラズマエッチングする構成は、現在においても独自の技術であり、半導体および絶縁体試料の局所無残渣加工技術としては他に例を見ない。半導体デバイスの不良解析用試料作製とした当初の目的のほかに、MEMS関係のメーカーからの引き合いも多く期待できる。
V.評 価
キャピラリからエッチングガスを吸入する条件で発生するプラズマを利用したエッチング装置の実用化開発であり、目標としたエッチングの高精度制御技術や精密移動技術の開発に成功している。国研、大手LSI企業との連携も上手く行っている。本装置は幾つかの半導体企業から受注や引き合いを受けている。今後、日本初の技術として国外にも広く普及させるべく、開発戦略を練り上げて欲しい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


前のページに戻る