資料4

開発課題名「超LSI 故障個所解析装置ソフトウェアの開発」

(平成21年度採択:ソフトウェア開発タイプ)

開発実施期間 平成21年10月〜平成24年3月

チームリーダー :  中前 幸治【大阪大学大学院 情報科学研究科 教授】
サブリーダー :  松本 徹【浜松ホトニクス(株)システム事業部 専任部員】
中核機関 :  大阪大学
参画機関 :  浜松ホトニクス(株)、理化学研究所、(株)アストロン
T.開発の概要
これまでに開発してきた「超LSI 故障個所解析装置」の実用化のために、CAD データおよび故障データベースを有効利用した故障個所絞込み支援ソフトウェア並びにユーザインタフェース(ハードウェアとソフトウェア)の開発を行う。ユーザビリティが高く、信頼性の高い解析システムに仕上げることを目的とする。さらに、故障解析装置の普及を促進するため、故障個所絞込み結果を標準化するプラットフォームソフトウェアの開発を行い、これに続く故障原因を追究する物理解析装置への円滑な連携を可能とする。
U.事後評価における評価項目
(1)大規模なLSIのCADデータへの対応
故障個所絞り込みに必要不可欠な大規模LSI設計回路のCADデータ入力において、回路の階層構造を保持したまま、並列化処理、およびコード最適化によって回路抽出処理速度を2桁高速化に成功し、数千万ゲート規模のレイアウト読み込み時間を1時間以内に可能として目標をクリアした。
(2)故障データベースの構築と故障データベースを有効利用した故障絞込み支援ソフトウェアの開発
  大規模LSIの不良領域を迅速に絞り込むため、過去の良・不良事例を格納する故障データベースプログラム、および、それらのデータを有効に利用する故障絞り込み支援ソフトウェアを開発した。本故障データベースには180nm線幅の試作チップを用いて故障事例数526、L-SQ(走査レーザSQUID顕微鏡機能)およびLTEM(レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡機能)画像18015枚を収納し、本ソフトウェアを用いて故障個所を全体の8%の領域に絞り込むことができた。
(3)ユーザインタフェースおよびグラフィカルユーザインタフェースの開発
 熱容量・熱伝導率・半球全放射率解析、密度解析、表面張力解析からなるソフトウェア群も統合プラットフォームとは独立に開発した。開発終了後、統合プラットフォームに統合して、計測データをリアルタイムで解析し各種熱物性値の算出が可能になった。  専門家が調整する部分の多い本装置を一般のユーザーが簡単に利用できるように、LTEM時間波形の積算・読み出し・解析機能、LTEM光伝導素子への検出光照射位置保存機能、L-SQ SQUID-サンプル間距離調整機能等、13項目のソフトウェアモジュールは全て完了させた。また、LTEM 3次元表示ソフトウェア等をGUIに実装した。
V.評 価
本プログラム「機器開発タイプ」の成果である「故障箇所解析装置」のユーザビリティ向上等を図るソフトウェアの開発を目的としている。CADデータ高速入力ソフトウェア、故障データベースプログラム、故障絞り込み支援ソフトウェア、およびユーザインタフェース等、一連のソフトウェア開発は、ほぼ開発目標を達成したと評価できる。しかし、ハードウェアの面では感度と空間分解能が十分ではなく、今後、ハードウェアのさらなる改良を図り、装置の実用化が達成されることを期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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