資料4

開発課題名「超高温熱物性計測システム支援ソフトウェアの開発」

(平成21年度採択:ソフトウェア開発タイプ)

開発実施期間 平成21年10月〜平成24年3月

チームリーダー :  塚田 隆夫【東北大学大学院 工学研究科 教授】
サブリーダー :  島田 賢次【アルバック理工(株)研究開発部 副部長】
中核機関 :  東北大学(工)
参画機関 :  アルバック理工(株)、東北大学(多元研)、首都大学東京、学習院大学、慶應義塾大学、(株)システムハウス
T.開発の概要
電磁浮遊法に静磁場を重畳した世界初の超高温熱物性計測システムの実用化のために、当該プロトタイプ機に搭載する支援ソフトウェアを構築し、ユーザビリティの向上を図る。また、結晶製造や精密鋳造など高温融体が関連する高付加価値製造プロセスの基盤を支える融体の熱物性データベースを整備・拡充する。
U.事後評価における評価項目
(1)統合プラットフォームの開発
超高温熱物性計測システムのユーザビリティ向上を目的として、「熱物性計測システム支援アプリケーションソフトウェア群」、「統合制御ソフトウェア群」、および「熱物性解析アプリケーションソフトウェア群」から構成される「超高温熱物性計測システム支援ソフトウェア(統合プラットフォーム)」を、市販されている開発環境上に構築し、当初目標を越える動作性能を確認した。
(2)熱物性計測システム支援アプリケーションソフトウェア群の開発
  電磁場解析、熱流動解析、表面振動解析からなるソフトウェア群は、統合プラットフォームとは独立に開発した。各ソフトウェアの開発終了後、基本設計書を基に、統合プラットフォームに統合してリアルタイムにおける最適な計測条件の探索を可能にした。本計測システムのハードウェアを制御する統合制御ソフトウェア群と連動して計測における飛躍的な効率化を達成した。
(3)熱物性解析アプリケーションソフトウェア群の開発
 熱容量・熱伝導率・半球全放射率解析、密度解析、表面張力解析からなるソフトウェア群も統合プラットフォームとは独立に開発した。開発終了後、統合プラットフォームに統合して、計測データをリアルタイムで解析し各種熱物性値の算出が可能になった。なお、「熱物性計測システム支援アプリケーションソフトウェア群」、および「熱物性解析アプリケーションソフトウェア群」については、今後著作権を守りながら、一部オープンソース化の予定。
V.評 価
金属や合金等を浮遊状態で溶融し、精密に熱物性値を計測するシステムの制御およびデータ解析ソフトウェア群の開発である。試料を電磁浮遊状態で安定化させ、温度等各種計測を行うに当たり、試料の形状が安定化する計測条件の割り出し、それに基づくハードウェアの制御、得られたデータの瞬時解析および熱物性計算といった一連の予定されたソフトウェア開発は、中間評価時では遅れが見られたが、その後、チームの努力により遅れを取り戻し、順調に進められ、目標通りのソフトウェアが完成した。このソフトウェアにより、装置自体のユーザビリティが飛躍的に向上し、世界に類を見ない装置として完成したことは高く評価できる。開発成果はWebページ(http://www.prospect-fw-tohoku.com/)を介して公開されており、また、この装置を用いた計測の依頼も受け付けている。今後、本ソフトウェアにより、装置が多くの利用者を獲得し、装置自体の標準化が図られることを強く期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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