資料4

開発課題名「バイオ蛍光法によるアスベスト自動計測ソフトウェアの開発」

(平成22年度採択:ソフトウェア開発タイプ)

チームリーダー :  黒田 章夫【広島大学大学院 先端物質科学研究科 教授】
サブリーダー : 河崎 哲男【(株)インテック 取締役】
中核機関 :  広島大学
参画機関 :  (株)インテック
(有)シリコンバイオ
T.開発の概要
 これまでに開発したバイオ蛍光法によるアスベスト検出は、簡便な蛍光顕微鏡でアスベストの形態と物性の両方を捉えつつ、光学顕微鏡としてはこれまでにない感度でアスベスト繊維を検出する優れた方法である。本課題ではバイオ蛍光法をもとに、従来の目視による判定をバラツキのない自動判定に変えて、アスベストを迅速、かつ、誰にでも計測できるソフトウェアを開発する。これにより、解体現場でのリアルタイムなアスベスト計測を実現する。
U.中間評価における評価項目
(1)要件定義書および基本設計書
 応用ユーザーである複数の環境計測会社からアスベスト検査の現状、自動計測ソフトへの要望等ヒアリング調査を実施して、ユーザーの観点でシステムへの要求仕様書をまとめ、その要求と課題をもとに、要件定義書および基本設計書を作成した。
(2)輝度補正機能のプログラム開発
 全国より収集したサンプルをバイオ蛍光法による検査を実施し観察画像を取得して、画像分析した結果、輝度ムラのあることがわかり、三段階の輝度補正(輝度ムラ補正、ヒストグラム分布正規化、適応型コントラスト処理)を実装した。
(3)粒子除去機能のプログラム開発
 観察画像には多数の夾雑粒子があり、それによる誤認識やアスベスト繊維の見逃しが見られるので、粒子領域のマスク処理や、アスベストの形状条件を満たさないものを粒子として除去し、さらに繊維認識の精度を上げるため抽出特徴量により粒子判別を行う機能を実装した。
(4)モニタリングマニュアルの計測ルールに則った判定機能のプログラム開発
粒子が付着している繊維の計測、カーブしている繊維の長さ計測、分岐している繊維の計測、絡まっている繊維の判定について、計測ルールに沿ったアルゴリズムを考案し、検証している。
(5)統合ソフトウェアによるアスベスト検出
各機能のプログラムを結合した性能試験用統合ソフトウェアを構築し、正解率92.4%、公定法との相関係数0.76を得て、目標を上回った。
V.評 価
 本事業の「要素技術タイプ」で開発した、「バイオ技術による迅速・高感度・簡易アスベスト検出キット」を用い、得られた蛍光画像からアスベストを定量的に計測するソフトウェアの開発が目標である。開発は順調に進捗しており、主要な目標も達成していると言える。開発するソフトウェアの市場性も大きいと期待される。検出した微小繊維がアスベストか、アスベストではないものか、ソフトウェア上では容易には判定できない場合もあるため、人の目で判定をするための『グレイゾーン機能』を追加し正解率が向上しているが、さらに高い正解率、および公定法との相関性を明らかにし、解体/建築現場等でその場計測ができる程度まで、精度を上げるように開発を着実に推進すべきである[A]。


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