資料4

開発課題名「内視鏡のための単眼三次元異種情報計測システムの開発」

(平成22年度採択:要素技術タイプ)

チームリーダー :  下山 勲【東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  なし
T.開発の概要
 本課題では、従来の内視鏡用の撮像系で不可能であった、病巣の可視光画像、蛍光画像および距離情報を同時に計測し、病巣の三次元形状および内視鏡との位置・姿勢関係を三次元画像として提示する単眼三次元異種情報計測システムを開発する。この計測システムは、各画像・情報を1つの光軸上で同時に計測することで、3種類の画像の対応が明確となり、位置ズレなく、画像が統合可能になるという特徴を持つ。
U.中間評価における評価項目
(1)可変焦点液体レンズの開発
 電圧印加により変形する直径5mm及び10mmの可変焦点液体レンズを開発した。直径5mm及び10mmの液体レンズを焦点距離変化速度2Hzで駆動し、数値目標を達成した。焦点距離変化量は、最短焦点距離の1〜4.9倍変化し、達成目標を上回った。また、目標外の成果として、レンズ静電容量と焦点距離に高い線形性があることが判明し、液体レンズの静電容量を元に焦点距離計測を実現することができた。
(2)MEMS三次元スキャナを用いた距離計測
 液体レンズを用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)三次元スキャナにより距離計測を実施した。距離計測精度は、内視鏡から106〜110mmの位置に置いた物体を標準誤差0.05mm、標本標準偏差2.6mmで計測し、達成目標を上回った。距離計測速度は、距離を4Hzで計測し、数値目標を達成した。また、鶏肉(疑似生体試料)表面の反射光スペクトルを測定し、波長450nm以上の光が反射されることを確認し、生体表面までの距離測定の可能性が示唆された。
(3)異種情報画像の重畳
可視光(色画像)、蛍光(蛍光画像)、レーザ光(距離情報)を 同一光軸上で位置ずれ無く計測することで、4fps以下に重畳、表示し、数値目標を達成した。
V.評 価
焦点距離が電圧制御可能な液体レンズを適用した新たな単眼立体視内視鏡システムの開発である。開発は順調に進んでおり、可変焦点液体レンズの開発、MEMS三次元スキャナを用いた距離計測、異種情報画像の重畳と、全ての項目で数値目標を達成している。今後は、知的財産権の確保を心掛け、また、早期に生体試料の観察に着手し問題点の洗い出しを通じて生体試料までの距離と形状の計測の精度向上を目指し、開発を着実に推進すべきである[A]。


前のページに戻る