資料4

開発課題名「タンパク質超高感度質量分析のための次世代微量サンプル導入システム」

機器開発タイプ(領域非特定型)

開発実施期間 平成20年10月〜平成23年3月

チームリーダー :  夏目 徹【(独)産業技術総合研究所 バイオメディシナル情報研究 センター
チーム長】
サブリーダー :  吉岡 豊吉【(株)テクニスコ 専務取締役】
中核機関 :  (独)産業技術総合研究所
参画機関 :  (株)テクニスコ
(独)理化学研究所
日京テクノス(株)
T.開発の概要
本事業「要素技術プログラム」の課題において、精密電鋳加工法と無発塵精密ロボット技術を組み合わせることによってタンパク質の質量分析のサンプル導入技術を開発し、質量分析の感度を飛躍的に向上させることに成功した。本開発では、この成果を基に、次世代微量サンプル導入システムを普及・一般化するための機器開発を行う。
U.事後評価における評価項目
(1)通常の実験室環境で稼働可能なクリーンボックスと無発塵システムの開発 
 要素技術プログラムで開発したシステムを収納できる小型のクリーンボックスと無発塵溶媒接続システムを開発し、クリーンルーム並みの環境を通常の実験室内で実現した。クリーンボックスの稼働から1分後には発塵粒子(0.3μm以上)がほぼゼロとなり、予想を上回る性能となった。そのため、当初予定した与圧機能、ゲートシステムは不要となり、シンプルなシステムとすることができた。
(2)メンテナンス性向上
  エクスパンジョンポートは、弾性体をポートに包埋し、金電鋳で作成した。開発したエクスパンジョンポートを用いることにより、組み付け調整に特段の教育・訓練が不要なインジェクションシステムを開発した。また、本ポートは電鋳で製作するため100〜200個を同時生産可能で、製作期間も1ヶ月程度、コストはおよそ15万円/個と見積っている。
(3)耐久性向上
金電鋳でマイクロ流路を製作する技術を開発した。ノイズ源とならない金の電鋳でマイクロ流路を作成するために流路のコーティングが不要となった。そのため、当初問題となっていた流路コーティングの剥離も無いために耐久性も向上し、ノイズレベルを目標値以下とすることができた。
V.評 価
本事業の要素技術プログラムで開発した、質量分析装置へサンプルを導入する技術の製品化を視野に入れた機器開発を行った。開発は順調に進捗し、小型クリーンボックスと金の電鋳によるマイクロ流路の実現により、通常の実験室環境に設置可能なクリーンルーム並みの試料導入システムを完成することができた。本装置は早期の実用化が期待される。今後、本装置を用い、タンパク質研究分野への大きな貢献がなされることを期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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