資料4

開発課題名「高圧型定圧吸着量測定装置」

機器開発タイプ(領域特定型)
【応用領域】知覚(視覚)機能を考慮した材料及び製品の
性状・品質評価計測

開発実施期間 平成20年10月〜平成23年3月

チームリーダー :  仲井 和之【日本ベル(株)代表取締役】
サブリーダー :  飯山 拓 【信州大学 理学部 准教授】
中核機関 :  日本ベル(株)
参画機関 :  信州大学
T.開発の概要
高圧定圧吸着量測定装置を開発する。吸着等圧線は実プロセスでは重要であるが、これまで分析装置は市販されていない。本装置にとり水素貯蔵において高精度な吸着等圧線が測定可能となり、温度を変化させ吸着量がどのように変化するかが測定可能となる。また水素貯蔵材料の吸放出速度や従来のPCT曲線の測定も可能であり、貯蔵材や吸着剤の評価・分析を簡単かつ精度よく短時間で測定することが可能となる。
U.事後評価における評価項目
(1)1MPa高圧定圧吸着装置の製作及び検証
  0.5kPa〜1MPaの圧力制御を可能とし、低圧側は1.3kPaの目標値を超える結果となった。また、133kPa以下では±0.01kPa、それ以上では±0.2kPaと高い安定性を示した。温度制御においては50〜573Kの温度範囲で可能となった。温度安定性はペルチェ素子+ヒーター方式により50〜573Kで±0.1K以内、Heクライオスタット方式では35〜473Kで±0.02K以内と目標を上回った、圧力とガスのモル量が理想気体状態方程式に従わない非理想性については、1MPaまでの圧力範囲で、水素と窒素の非理想性を正しく見積もることができた。これは本装置特有の利点である。また、本装置での吸着等温線は容量法と重量法で測定した基準試料とよく一致し、最大誤差は約1%であった。この装置を用い、水素吸蔵合金に対する水素吸蔵速度の比較を行うことに成功し、吸着速度も、温度・圧力に対する吸着量変化とともに同時測定可能であることを示した。
(2)40MPa高圧定圧吸着装置の製作及び検証・商品化検討
  40MPaまでの圧力制御はコントロールバルブとマスフローメーターを組み合わせて用いた。両者のパラメータを決定し、38MPaで制御すると、圧力変動は±0.02%以内に抑えて一定圧力で制御することに成功した。Heクライオスタット式低温温度コントロールデバイスの耐圧サンプルセルは熱伝導性のよりベリリウム銅で作成した。当初、高圧下、低温では外部リークが生じたが、研磨と金属製O−リングを採用して解決した。系内が高圧でも温度安定に3分ほどで到達し、安定時には±0.02K以内の温度ゆらぎとすることができた。また、吸着量計算を厳密に行うためのサンプル死容積の見積、非理想性について検討した他、従来法との比較によるデータの整合性、吸着等圧線の自動測定を行うためのソフト開発を実施した。
V.評 価
従来、測定系の温度を一定として吸着ガスの圧力を変化させて、粉体等へのガスの吸着量を計測して得られた吸着等温線を、測定系の圧力を一定とし、温度を変化させることで固体表面の吸着量を計測し、吸着等圧線を得ることができる装置の開発を目的としている。開発は順調に進捗し、1MPa装置について当初の目標をはるかに超える成果を挙げ、吸着等温線、吸着等圧線の他、吸着量を一定として、温度・圧力変化を検出する吸着等量線も本装置1台で得ることに成功した。40MPa装置については再現性のあるデータが得られていないが、今後、中核機関を中心として開発を進め、本装置の製品化・実用化に期待したい。本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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