資料4

開発課題名「材料創成に資する動的その場解析のための
X線吸収測定装置に関する調査研究」

機器開発タイプ(調査研究)

開発実施期間 平成21年10月〜平成23年3月

チームリーダー :  小林 慶規【(独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門 研究室長】
中核機関 :  (独)産業技術総合研究所
参画機関 :  (株)リガク
T.開発の概要
実験室およびものづくり現場で動的その場解析が可能なX 線吸収分光測定(XAFS)装置の開発を目的として、動的その場解析のための測定系の各要素開発、トータルシステム開発、製品化の可能性、およびその応用分野とニーズに関する調査研究を、内外の放射光施設や大学、研究所等での最先端技術動向調査や予備実験などを通して行う。本調査研究により、XAFSの適用性を大幅に拡大させることの可能性を明確にする。
U.事後評価における評価項目
(1)X線源
 本調査研究によって、カーボンナノ構造体電子源とカーボン系の板状透過型ターゲットを用いることにより、強度の高い連続X線を発生できることをシミュレーション及び実験によって明らかにする。
(2)X線分光・検出システム
 本調査研究項目に関連して、新規X線源から発生するX線を照射、試料を透過させそのスペクトルをシリコンドリフト検出器で測定したところ、構成元素の吸収端の位置から定性分析が、また、吸収端のジャンプの大きさから定量分析が可能であることを見出した。
(3)その場計測・動的解析技術
 本調査研究項目の目標は、実際の材料作製におけるX線吸収測定の有効性を確認することであり、産業技術総合研究所で開発が進められている蓄光材料やリチウム電池電極材料等に含まれる希土類元素、コバルトなどのX線吸収測定を高エネルギー加速器研究機構の放射光実験施設共同利用により行った。
V.評 価
カーボンナノ構造体電子源とカーボン系透過型ターゲットを用いることで、Moターゲットより数倍、さらに焦点サイズを小さくすると1桁以上、強力な白色X線が得られる、というシミュレーション結果が得られた。さらに予備実験ながら、従来に比べて約1桁高い強度の白色X線が得られることを見出し、オンサイトXAFS解析の可能性が広がった点が高く評価される。実用化にあたって、X線源の安定性をかなりの精度で向上させる必要があると思われる。特にXAFS解析に利用するには長時間の安定性が不可欠である。本調査研究で可能性を予備的実験で確認したに留まっており、今後、寿命や安定性のデータを採取し、その機構を解明することによりXAFSの適用性を広げることを期待したい。


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