資料4

開発課題名「革新的PET用3次元放射線検出器の開発」

(平成21年度採択:要素技術プログラム【一般領域】)

チームリーダー : 山谷 泰賀【(独)放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター チームリーダー】
中核機関 : (独)放射線医学総合研究所
参画機関 :  千葉大学(工、フロンティアメディカル工学)
東京大学
浜松ホトニクス(株)
T.開発の概要
 分子イメージング研究に不可欠とされるPET装置の検出器等の高性能化を目指し、最先端技術を集約した革新的アイディアに基づく位置・エネルギー弁別可能なシンチレーター検出器「クリスタルキューブ」を開発する。 具体的には、細分割したシンチレーターブロックに超小型の半導体受光素子MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)を取り付け、飛来γ線に関しサブミリオーダーの等方的位置弁別およびエネルギー分解が可能な効率的検出器の実現を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)クリスタルキューブ検出器のフィージビリティ評価
 3mmおよび2mmの等方的位置分解能を実証し、当初目標性能を十分に達成した。 即ち幾何学的手法による位置弁別アルゴリズム(Anger計算+情報取捨選択法)を開発し、シンチレーション光の振る舞いを高速に計算する簡易的検出器シミュレータの利用や実験により,クリスタルキューブ表面に配置した受光素子に到達する光子数に対して、2mmの等方的分解能が達成できることを示した。さらに、今後の1mm等方分解能について実現可能性を明らかにした。
(2)モノリシック・シンチレーターブロックの開発
 クリスタルキューブは、シンチレーターブロック結晶内部にレーザー加工により不透明壁を作成し、「ルービックキューブ」状に細分割したものであるが、この細分割壁によるレーザー光の透過・反射光強度の実測値をモデル化したシミュレーションを行い、加工面を三角形パッチの集合として自由にモデル化できるようにしたことにより,今後弁別能を高めるための加工技術開発の基盤をつくることができた.シンチレーターレーザー加工については、18×18×18 mmのLYSOブロックを用いて、3mmピッチ6×6×6アレイを作成することに成功した
(3)MPPC用読み出しASICの開発
 MPPC用ASICとして必要な機能・性能を検討し、回路設計・解析およびレイアウト設計・検証が終了し、チップ製作が進んでいる。評価用としてチップを28mm角 160pinフラットパッケージに封入した1次試作ASICが完成した。
V.評 価
 新奇な3Dシンチレーターブロック「クリスタルキューブ」を製作し、当初の中間目標性能を達成しており、計画は順調に進捗している。浜松ホトニクス社でのクリスタルキューブの加工では良好な結果が得られ、ASICの開発も順調に行われている。本技術の実用化に向け、特許出願など知的財産権の取得は順調に推移しているが、学会発表等論文発表については加速する必要がある。アイデア勝負のデバイスであり、海外の競合相手など国際的競争を想定した戦略を立てる必要がある。今後は、本装置の広い分野での普及を目指して、競合製品の開発の進展に留意しつつ、システムとしての本装置の総合性能の向上を目指し、開発を着実に推進すべきである[A]。


前のページに戻る