資料4

開発課題名「超小型近赤外分光装置の開発」

(平成21年度採択:機器開発プログラム(領域非特定型))

チームリーダー : 川島 隆太【東北大学加齢医学研究所 教授】
中核機関 : 東北大学
参画機関 :  (株)日立製作所
T.開発の概要
 光トポグラフィ技術は、日本発の小型簡便な無侵襲脳機能画像計測技術である。しかし、これまで被験者にストレスの無い状態での多人数のリアルタイム同時計測は不可能であった。本開発では、無線通信化された超小型近赤外分光装置を開発して20人までの同時計測を行い、「複数脳の相互作用」「複数脳の共鳴」の解明を目指す。脳科学や認知心理学にブレークスルーをもたらし、教育現場への応用も期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)装置を実利用する際の要件分析・仕様書作成
 開発する機器を実際に活用する現場(フィールド)へ持ち出し、複数・同時で測定する際の複数の脳の相互作用、複数の脳の共鳴を研究するが、この測定を実現するための要件分析をQFD法により実施し、50の要件を抽出した。この要件分析を仕様書にほぼ100%反映させた。
(2)LSIの設計と製作
 本装置に搭載するLSIの基本設計を実施し、必要な仕様書(開発基本仕様書、レジスタアドレスマップ仕様、機能仕様、クロック系統図、設計図面一式など)を完成させた。これをもとにLSI内蔵モジュールの設計を完成し、9月末に一次サンプルを完成させた。この仕様書類、サンプルを踏まえてシステムアーキテクチャー仕様等をまとめ、評価用アプリケーションとともにシステムを製作し、平成23年3月中に完成予定である。
(3)装置の意匠デザインと構造サンプル作製
 本装置の実際の利用者を想定して、一次意匠案(カチューシャ型等4種)を決定し、簡易モックアップを製作した。実用面を配慮して改良点を抽出し、第二意匠案(V型等5種)を比較検討の結果、意匠を決定。試作品を完成した。
V.評 価
 脳機能を無侵襲に計測し、画像化する近赤外光を用いた新たな計測装置を目指した開発である。開発は順調に進捗しており、装置に搭載するLSIの設計・試作の完了、基本仕様を完成させ、装置装着者を意識した意匠の試作品も完成している。本装置の測定原理は必ずしも新規・独創性の高いものではないが、多人数の同時計測という新たな試みによって集団の脳機能の解明に向けた研究に活用されることが期待されている。そのためには実データを取得して初めて真価を発揮するものであり、装置を早期に完成させ、実用化に向けて実際に活用できるように、着実に開発を推進するべきである[A]。


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