資料4

開発課題名「超高速スクリーニングのための新型マイクロアレイシステム開発」

(平成21年度採択:機器開発プログラム【一般領域】進化工学・分子デザイン手法等高機能バイオセンサー・デバイスを備えた計測分析)

チームリーダー : 西垣 功一【埼玉大学大学院理工学研究科 教授】
中核機関 : 埼玉大学
参画機関 :  (株)ライフテック
(株)エンプラス
ジェナシス(株)
T.開発の概要
 細胞増殖、アポトーシスあるいは蛍光発光など特定の細胞応答を引き起こす機能性分子を微量(〜100nl)で超高速(103〜4/日)にスクリーニングできるシステムを開発する。この開発では、ピペット操作を必要としない多重並列微量試料の移送を可能にした「体積活用型マイクロアレイ」を用いて、微小穴中の細胞応答が観察可能で高感度な物理的・化学的検出デバイスを実現する。創薬を始め、幅広い分野での社会貢献が期待できる。
U.中間評価における評価項目
(1)汎用MMVカセットの作成
 カセットの材質として、PDMS(ポリジメチルシラン)、PC(ポリカーボネート)、シリカなどで1,024穴の形状のものを作成し、厚さ、深さなどを変えながら、PCRや細胞培養を行い、最適化を行った。PDMSは製法コストと細胞培養上の問題点があることから、乾式MMV(体積活用型マイクロアレイ)の基本躯体としてはPCを用いることとした。また、MMV基板間のサンプル移送について検討した結果、高い移送効率(97%)を達成することに成功した。
(2)MMV基板でのスクリーニング評価系の確立
グレリン受容体発現型CHO細胞を用いて、MMV中でグレリン刺激により蛍光応答を観察することにより、スクリーニング評価が可能であることを実証した。物理的検出システムの内、蛍光検出ユニットについては、計画の立案当初に採用を予定していた落射蛍光顕微鏡から倒立蛍光顕微鏡に仕様を変更した。
(3)サブμL検出・操作ロボットの構築
 微量試料の吸引・吐出部にあたるマイクロキャピラリの材質・形状・操作について検討するとともに、新たなロボットの設計・組立を開始した。装置はハンドリングマシン(ロボットアーム)がXYZ方向に動く方式で、MMVカセットステージの定位置下からCCDカメラがモニターする方式に決定した。また、MMV専用のPCR装置として、プロトタイプを組み上げ、システムとして構築した。
V.評 価
 ピペット操作によらず、細胞応答する機能性分子を含む液体を移送し、超高速でスクリーニングする機器の開発を目標としている。開発は概ね順調に進捗しており、本機器の特徴である微量液体の移送機能については、試作プレートの段階で高い平均移送率で目標を達成している。また、操作ロボットや専用分注チップの開発により、微量の分注にも成功した。今後は、実際の細胞スクリーニングへの適用を想定し、マイクロウエルの漏れや塗布の均一性に留意した詳細な基本設計を詰め、緻密なものづくり技術を活用しつつ、ユーザーが安心して使える装置となるように、着実に開発を進めるべきである[A]。


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