資料4

開発課題名「高速電子常磁性共鳴イメージング法の開発」

(平成20年度採択:要素技術プログラム【一般領域】)

チームリーダー : 平田 拓【北海道大学大学院 情報科学研究科 教授】
中核機関 : 北海道大学
参画機関 :  札幌医科大学
T.開発の概要
 不対電子を持つ分子(フリーラジカル)を特異的に画像化する電子常磁性共鳴(EPR)イメージング法を、これまでの10倍高速化する要素技術の開発を目指す。均一分布プロジェクション法と高速磁場掃引により、EPRイメージングの高速化を実現する。高速なEPRイメージングを実現すると、短時間で消滅するフリーラジカル分子の生体内での振る舞いを明らかにすることが可能になり、フリーラジカル分子が関与する疾病や生命現象の解明に貢献することができる。
U.中間評価における評価項目
(1)高速磁場掃引技術の開発
 高精度アナログ信号の生成と高電流バイポーラ電源による増幅の構成で、1サイクル70ミリ秒の高速磁場掃引を実現し、46プロジェクションの測定を、目標(5秒以内)を上回る3.6秒で行うことに成功した。
(2)均一磁場勾配プロジェクション法の開発
 極付近に無駄なデーター取得のあった従来の球座標系に換えて、新たに正20面体から生成した多面体による方法を検討し、従来の2/3のプロジェクション数で同等の画像品質を得られる均一磁場勾配プロジェクション法を開発した。
(3)検出感度改善の検討
 マイクロ波共振器・検出回路の感度アップ・雑音低減化を図ることにより、TEMPOL水溶液(1mM)のスペクトルを磁場勾配無し0.1秒掃引で、目標を上回る信号対雑音比370の検出感度が得られた。
(4)3次元イメージングの基本性能評価
 上記高速磁場掃引技術と均一磁場勾配プロジェクション法により、TEMPOL水溶液(1mM)からなるファントムを作成し、アスコルビン酸による還元消失過程を歪みの少ない連続画像化することに成功した
V.評価
 体内の酸化還元状態が関与する疾患研究や生命現象解明への応用を目的とする電子常磁性共鳴(EPR)イメージング法の高速化の技術開発である。開発は順調に進捗しており、当初計画時に設定したマイルストーンはほとんど全て達成し、今後も順調に開発が進むと期待される。今後は開発された技術に関する特許出願にも留意しつつ、マウスでの実験を行う札幌医科大学との連携を更に強め、開発を着実に推進すべきである。[A]


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