資料4

開発課題名「ICP−MSとレーザを融合させた極微量同位体分析装置の開発」

(平成20年度採択:要素技術プログラム【一般領域】)

チームリーダー : 長谷川 秀一【東京大学大学院 工学系研究科 准教授】
中核機関 : 東京大学
参画機関 :  (なし)
T.開発の概要
 広く分析に利用されている誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)をイオン源として用い、レーザ冷却技術によって極微量同位体イオンを選別する。選別されたイオンは、イオントラップに捕獲することにより、極微量同位体の検出に適用するとともに、分析手法としての確立を目指す。
U.中間評価における評価項目
(1)奇数同位体43Caイオンのレーザ冷却による効率的蛍光検出
 43Caの冷却スキームに必要となるレーザ波長の生成を完了し、蛍光観測によって冷却効果を確認した。また、44Caを同時に冷却(協同冷却)することで43Caの波長に対応する蛍光を50kcps程度観測した。冷却効率が十分でないことからさらに磁場を加えた実験を計画している。
(2)ICP−MS−TRAP装置の確立
 イオントラップ内におけるイオンの挙動を計算し、装置設計を実施した。ICP−MS主四重極から出射するイオンを想定してシミュレーションを行ったところ、質量数41のイオンについては70%程度のトラップが可能であることがわかった。
(3)その他
 プラズマイオン化の際に、同重体が高い比率で生成するという予期しない事実が判明した。同位体と同重体を選別するため、レーザ冷却を用いた同重体イオン除去システムを設計している。
V.評価
 同位体選択的なレーザ冷却法と質量分析法を組み合わせることによって、極微量同位体の観測を可能とする要素技術の開発を目指している。Ca元素のレーザ冷却技術については開発が順調に進んでいるが、試料水溶液のプラズマイオン化法による予期しなかった同重体の生成が判明した。その対処を検討する必要があり、全体として当初の開発計画に比べて遅れが見られる。今後は極微量同位体検出法の要素技術そのものの確立のため、引き続きイオンのレーザ冷却法並びにイオントラップの開発を進めるべきである。また、同重体イオンの生成を回避する為の方策についても、可能な限り検討すべきである。以上を踏まえ、効率的・効果的に開発を推進すべきである。[B]。


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