資料4

開発課題名「革新的高感度エンドトキシン測定装置の開発」

(平成20年度採択:機器開発プログラム【領域非特定型】)

チームリーダー : 丸山 征郎【鹿児島大学大学院 医歯薬総合研究科 教授】
中核機関 : 鹿児島大学
参画機関 :  旭化成クラレメディカル(株)
(財)微生物化学研究会
T.開発の概要
 高感度かつ選択的なエンドトキシンの測定は、臨床医学のみならず製薬・食品加工業など広い分野で重要である。それにもかかわらず、既存の測定法は、測定感度・測定基準値共に一定ではない。本開発では、従来法の5000倍以上の超高感度、かつ簡便な測定を目的とし、汎用性の高い測定機器の開発を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)エンドトキシン光散乱測定装置の製作
 リムルス反応を利用した、高感度エンドトキシン測定装置のプロトタイプの仕様を決定した。原理検証のためのモデル機を制作し、搭載するレーザー波長の検討、並びに透過光の強度・広がり等の基礎データを取得した。また、レーザーの自己発熱がエンドトキシンの検出に際して大きな問題とはならないことを確認した。
(2)エンドトキシン光散乱測定装置の到達測定精度
 市販のLPS測定仕様血小板凝集測定装置とモデル機の性能比較を行った。モデル機では、リムルス試薬の入った試験管に試料を添加してそのまま測定することによって基本操作性を向上させ、且つ汚染の可能性を低下させた。ほとんどの試料で、60分以内0.01pg/mlの検出精度でのエンドトキシン測定を実現した。また、機械のサイズを小さくすることで機器をポータブル化する可能性を見出した。
(3)測定キットの設計
 試薬組成を変化させることにより、リムルス反応時間を短縮すると共に、再現性の向上を実現した。ESP(エンドトキシン散乱測光)法による至適条件の確定に向け、データを集積中である。
(4)その他
 EPS法によるエンドトキシン測定の普及及び測定方法の統一を企図し、セミナーを開催し、統一的測定法を公表した。
V.評価
 細菌感染症、エンドトキシンによる敗血症性ショックなどは臨床現場で広く問題となっている。本開発は、チームリーダーらが発見したより鋭敏なエンドトキシンの測定法を、臨床現場で利用可能な機器を開発することを目的としている。開発は順調に進捗しており、当初提示した目標を達成し、最終目標に到達すると考えられる。今後は実用化に向け、プロトタイプ機の完成、これを用いたデータの集積、病態との関連についての解明を進めつつ、開発を着実に推進すべきである。[A]


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