資料4

開発課題名「タンパク質超高感度質量分析のための次世代微量サンプル導入システム」

(平成20年度採択:機器開発プログラム【領域非特定型】)

チームリーダー : 夏目 徹【(独)産業技術総合研究所 バイオメディシナル情報研究センター チーム長】
中核機関 : (独)産業技術総合研究所
参画機関 :  (株)テクニスコ
(独)理化学研究所
日京テクノス(株)
T.開発の概要
 本機器開発課題に先駆け、「要素技術プログラム」の課題において、精密電鋳加工法と無発塵精密ロボット技術を組み合わせた、タンパク質の質量分析のサンプル導入技術を開発した。その結果、質量分析の感度とS/N比を飛躍的に向上させることに成功した。本開発では、この要素技術をさらに発展させ、次世代微量サンプル導入システムを普及・一般化するための機器開発を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)クリーンボックスの開発と評価
 ミクロンレベルの流路閉塞、環境由来の極微量物質によるノイズを回避するためのクリーンボックスを開発した。メイン室と前室、これを仕切るゲートシステムから構成されるボックスを完成し、基本動作を1000回行い、その間、ボックス内の0.3μm以上の発塵粒子がゼロとなった。
(2)無発塵溶媒接続システムの基本動作の評価
 クリーンルーム内で調製した溶媒を、発塵環境に接触させずにシステム内に導入可能とする溶媒接続システムを開発した。基本設計・試作を完成させ、基本動作を確認した。溶媒からのノイズ量を質量分析によりカウントし、25カウント以下であることを確認した。
(3)エクスパンジョンポート開発
 発塵源であるポリマーを用いずに、インジェクションニードルとポートをシーリングするエクスパンジョン機構を開発した。ロボットにより1000回の基本インジェクションを行って耐圧・耐久性を評価した結果、50kgf/cm以上の耐圧が得られた。
(4)電鋳マイクロ流路用コーティング法の決定
 テストピースを用い、連続12時間の送液テストを実施して耐久性評価を行った。質量分析により、ノイズによるピークは5カウント以下であることを確認し、コーティングの劣化も認められなかった。
V.評価
 流路における異物質混入等を回避することによって、感度やS/N比を向上させる機器の開発を目指している。開発は順調に進捗しており、全ての数値目標を達成している。特にエクスパンジョンポート及びそのコーティングについては、技術上の問題点を克服し、目標を達成した。開発機器の実用化を目指し、今後とも開発を着実に推進すべきである。[A]


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