資料4

開発課題名「DNAエンコード技術による生体情報分析法」

(要素技術プログラム)

開発実施期間 平成17年10月〜平成21年3月

チームリーダー :  陶山 明 【東京大学 大学院総合文化研究科 教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 :  東京理科大学、東京大学(医・情報理工)、東京工業大学、オリンパス(株)、(株)バイオマトリックス研究所
T.開発の概要
 分析対象が持つ情報を、特別な配列を持つ内部コードDNAに変換することにより(DNAエンコード法)、遺伝子の配列に依存しない定量的な増幅が可能になる。本開発では、生命・医科学、創薬・医療を進める上で重要な、大量の生体分子情報を分析するための迅速で低コストな分析技術として、この独自のDNAエンコード技術を用いた生体情報分析法(DEAN法)を開発する。これにより、非常に簡便な装置で、複雑な生体情報を高感度・高スループット・低コストで分析することが可能となる。
U.事後評価における評価項目
(1)他律的手法に基づくDNAエンコード技術を用いた遺伝子発現分析法およびSNPタイプ分析法の開発
 DNAエンコード法の特長のため、1000遺伝子の並列的な発現分析が、サブzmolという高感度で、4時間で行えることになった。これはまた定量的PCR法を超える精度を持った上でcDNAの絶対量の測定が可能である。SNPタイプ分析では、128箇所のSNPのアレルタイプ分析を、3pgのゲノムDNA量に相当する感度で4時間で分析できる。
(2)自律的手法に基づくDNAエンコード技術を用いた遺伝子発現、SNPタイプの分析法の開発
 多段階の酵素反応が自律的に進行する分子プログラミングによる方法を開発した。これにより、従来のSNP分析法では不可能なSNPアレルパターン分析を行い、8種類のSNPを含むアレルパターンを、約1時間で解析可能になった。
(3)スライドガラスフォーマット蛍光検出装置の開発
 開発したDNAキャピラリーアレイ、DNAチップ、AmpliGridのための蛍光検出装置は、高輝度LED(青色、緑色、赤色)を使用することにより、長寿命で、発熱量が少なく、低価格な装置にできることを、明らかにした。サンプルの測定において、高感度カメラを併用することによって、既存の高感度蛍光イメージスキャナーと遜色ない性能が得られた。
V.評価
 DNAエンコード技術による生体情報分析法(DEAN法)の開発は順調に達成され、他律的手法による遺伝子発現解析法、SNPタイプ分析法は、絶対量の測定が出来るという特長を有し、精度も従来法と同等以上であり、スループットが遙かに向上しているため、市場性のある方法であることが、確認され、本課題の当初の目標を達成したものと評価される。今後は自律的手法の可能性を追求すると共に、他律的手法のライフサイエンス重要問題への適用例示によるユーザー層の形成と蛍光検出装置の改良を検討し、開発成果の事業化へ向けた取り組みを引き続き行うことが期待される。
 本開発課題は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。


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