資料4

開発課題名「AFM探針形状評価技術の開発」

(要素技術プログラム)

開発実施期間 平成17年10月〜平成21年3月

チームリーダー :  一村 信吾 【独立行政法人産業技術総合研究所 理事】
中核機関 :  独立行政法人産業技術総合研究所
参画機関 :  (独)物質材料研究機構、東京理科大学、NTTアドバンステクノロジ(株)
T.開発の概要
 原子間力顕微鏡(AFM)においては探針の先端形状のわずかな違いが測定結果(観察画像)に大きな影響を与える。本開発では、先端形状評価用標準試料と評価技術の確立をめざす。化合物半導体系とシリコン系成膜技術を応用して、5〜100nmの凸凹周期構造と1nm精度の孤立構造を持つ標準試料を開発し、探針形状の精密測定を可能にする。さらに標準試料による形状補正アルゴリズムを開発して、AFMにおけるナノ測定の定量化、標準化に貢献する。
U.事後評価における評価項目
(1)櫛型(Aタイプ)AFMプローブ評価標準試料の開発
 シリコン系の櫛型キャラクタライザは、化合物半導体系以上に高精度な探針評価が可能 なことがわかった。シリコン系のキャラクタライザは、パターンのサイズが5nmまで、線・間隙ともに、均質にエッチングされ、そのエッジ曲率も一定である。
(2)CNT架橋型(Bタイプ)AFMプローブ評価標準試料の開発
 CNTの成長方向を制御したCVD法で、最小線幅5nmの櫛型基板に、パターンに垂直な架橋を実現した。
(3)標準試料・被測定試料の精密評価技術の開発
 1nm精度の形状精度を実現した。形状測定精度の確認は、NISTトレーサブルな45nmの線幅スタンダードを利用して、線幅スタンダードの不確かさ±0.7nmの範囲内であることを確認した。
(4)画像処理技術の開発
 ナノ材料の形状、デバイスのトレンチ深さの評価などを定量的に計測する方法を確立した。また、探針形状関数・データを利用して、測定画像の補正可能なソフトウェアを作製した。
V.評価
 多層膜断面をエッチングした構造を用いる事によって高精度でAFM探針形状を評価する標準試料と手順、画像補正のアルゴリズム開発が達成され国際標準化に向けた活動にまで展開しており、事業化についても見通しがたっており、実用化が望める点で高く評価できる。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S]。


前のページに戻る