資料4

開発課題名「室温で動作する生体磁気信号計測用薄膜磁界センサの開発」

(平成19年度採択:要素技術プログラム【一般領域】)

チームリーダー :  薮上 信 【東北学院大学 工学部 准教授】
中核機関 :  東北学院大学
参画機関 :  宮城工業高等専門学校
財団法人 電気磁気材料研究所
T.開発の概要
 本開発では、室温で動作し、10-13T台前半の磁界検出分解能を有する薄膜磁界センサの開発と、心磁界等の生体磁気信号計測を目的とする。提案するセンサは、液体ヘリウム等を必要とせず、SQUID(超伝導量子干渉素子)に匹敵する分解能を有するものであり、低コストで、一般病院へも普及可能な汎用システムとも成りうる。本開発では試作したセンサにより健常者の心磁界等を計測し、医療応用上の課題を評価する。
U.中間評価における評価項目
(1)生体磁気信号計測プロト機の開発
 アモルファスCoNbZr磁性薄膜をマイクロストリップ導体と近接配置し、導体に流す高周波キャリア電流の位相変化をDMTD法で測定して、常温で微弱磁界を検出する高周波キャリア型磁界センサを開発した。センサの磁界検出分解能としてはSQUIDに匹敵する9.1×10-13Tを達成した。
(2)応用としての心磁界計測
 心磁界に特徴的なR波(強度が強く、立ち上がりの速い信号)だけではなく、より強度の小さなT波およびP波も積算によって計測可能となり、ほぼ健常者心磁界の全体を計測できることを示した。
V.評価
 世界ではじめて室温で動作し、10-13T台前半の検出分解能を有する薄膜磁界センサ(高周波キャリア型センサ)を開発できたことは大きな成果である。
 開発は順調に進行しており、今後は要素技術プログラムとしての目標を「高感度ガウスメータの開発」に絞り込むことにより計画を前倒し、開発終了後速やかに次の段階に移行できるよう、装置の有用性の評価に留意しつつ、着実に推進すべきである。[A]


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