資料4

開発課題名「薬物・医療スクリーニングを目指したオンチップ・セロミクス計測技術の開発」

(要素技術プログラム)

開発実施期間 平成16年10月〜平成19年3月

チームリーダー :  安田 賢二 【東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授】
中核機関 :  東京医科歯科大学
参画機関 :  長崎大学
T.開発の概要
 1細胞単位で細胞集団の空間配置・種類・数などの「パターン」を制御することにより、臓器組織と同様な応答を期待できる「細胞集団ネットワーク」をマイクロチップ上に構築します。これを薬物・医療スクリーニングに用いる「臓器モデルとなる細胞集団ネットワーク」計測手法の確立に役立てます。これらの技術により、動物実験に代わる新しい細胞ネットワーク計測の産業化を実現します。
U.事後評価における評価項目
(1)マイクロ培養チップ
 細胞ネットワークを意のままに構成し、長期培養し、光学的・電気的に多点計測するシステムの開発、並びに、細胞ネットワーク培養チップの試作とネットワーク構築プロトコルの確立に成功した。また、量産型マイクロ細胞培養チップの作成のためのアガロース自動微細加工装置の開発に成功した。
(2)医療・診断スクリーニング技術
 免疫細胞を用いたスクリーニング技術の開発において、1細胞レベルでの細胞培養・応答計測システムを構築した。また、神経細胞ネットワークを用いたスクリーニング技術の開発において、多電極同時測定システムにより、活動電位を発する機能性ニューロンへ分化させることに成功した。さらに、心筋細胞ネットワークを用いたスクリーニング技術の開発において、薬剤効果を示す培養細胞ネットワークを用いた臓器モデルが構築されたことを確認した。
V.評価
 1細胞単位で細胞集団の空間配置を制御し、臓器組織と同様な応答を期待できる「細胞集団ネットワーク」をマイクロチップ上に構築する要素技術の開発は、薬物・医療スクリーニングのための画期的な計測手法となることが期待される。
 マイクロ培養チップの要素技術開発は順調に達成され、独創的な発想に基づく、細胞機能と個体機能を関係づける新規の解析手法として、生理学や生命科学に新たな方法論を提供しうる点は高く評価でき、計測分析機器の性能を飛躍的に向上させ、ひいてはここから生まれた計測機器が生命科学の新しい分野を切り拓くことが強く期待される。今後は、戦略的な知的財産の形成および権威ある論文誌への論文投稿が国際競争上重要な課題となり、また多岐に渡る応用解析を効率よく進捗させ、市場開拓に向けた努力が引き続き行われ、日本発の計測分析技術として国際的に認められることが期待される。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する。


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