チームリーダー : |
古屋 一夫 【独立行政法人 物質・材料研究機構 超高圧電顕共用ステーション ステーション長】 |
中核機関 : |
独立行政法人 物質・材料研究機構 |
参画機関 : |
株式会社 島津製作所
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- T.開発の概要
- 数k〜数十keVのエネルギーを持つ正電荷のイオンを、非電気伝導体の物質に照射することにより発生する低エネルギーのX線を測定することで、これまで極めて難しかった物質中のホウ素、炭素、窒素、酸素等の軽元素を高感度で分析する技術を確立します。本技術は小型の収束したイオンビームを用い、X線の新しい検出方式を実用化することで可能となり、他の分析機器とも容易に組み合わせて使用できるものです。
- U.事後評価における評価項目
- (1)軽イオンマイクロビーム形成技術の開発
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- イオン種He+、Ar+、Ga+のビーム照射を達成、ビーム径についても、分析モード(大電流モード)、並びに観察モードにおいて所定の目標を達成した。
静電加速・収束方式にてイオンビーム光学系を実現し、ビーム走査範囲も目標の±1mm以上を達成した。
- (2)低エネルギーX線高感度計測技術の開発
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- マルチキャピラリーX線レンズ(MCX)、平板分光結晶(3結晶自動切替機構付)を組み込んだ微小部対応の平行ビーム分光方式のコンパクト・高分解能な分光器試作機を完成した。分析可能元素、分光エネルギー範囲、元素検出感度、波長分解能等、X線分光器として必要な性能を有し、コンピューター制御による優れた操作性を備えている。
- (3)イオン励起特性X線分光分析法の改良と確立
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- 酸化物、窒化物、炭化物の数十種類のデータ解析により、イオンビーム種によるエネルギー依存性、励起X線強度に対する試料の絶縁性、表面形態、イオンビーム入射角等の検証実験を行った。以上の解析、検証実験よりX線励起現象のモデルを提案したが、分析手法として必要とされる再現性、定量性の確認には至らなかった。
- V.評価
- 数k〜数十keVのエネルギーを持つ正電荷のイオンを、非電気伝導体の物質に照射することにより発生する低エネルギーのX線を測定する技術の開発は、これまで極めて難しかった、物質中のホウ素、炭素、窒素、酸素等の軽元素を高感度で分析する新たな手法となることが期待される。
- MCX分光器、並びに低エネルギーガスイオン銃の開発は、当初目標とした性能を順調に達成した。しかし、本来分析手法として必要な再現性、定量性が十分に確認されておらず、その特性X線発生メカニズムについても究明すべき点が残され、軽元素を高感度で分析する新たな分析手法となるかについては更なる検討が必要である。今後は、得られたデータを解析し、軽イオン励起特性X線発生の機構を明確化した上で、新たな分析手法の開拓に向けた努力が引き続き期待される。
- 本開発では開発目標である軽元素の分析の可能性は示されたが、本事業の趣旨に相応しい成果が得られなかったと評価する。
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