チームリーダー : | 大島 忠平 【早稲田大学 理工学術院 教授】 |
中核機関 : | 早稲田大学 |
参画機関 : | 電気化学工業 株式会社 株式会社 アプコ 株式会社 ホロン |
- T.開発の概要
- 従来の電界電子放出電子銃に比較して、2 桁以上の輝度をもち、2 桁以上の空間的可干渉性が向上した、実用に供する寿命をもつ単原子電子源を開発する。タングステン<111>表面にナノピラミッドを作成し、この先端原子から高指向性、高輝度の電子ビームを放出させる。高いビーム性能実現のため、電子源の取り付け精度を1桁向上させ、各種雑音(振動、電気、磁場)を低減する。
- U.中間評価における評価項目
- (1)高精度電子源取付技術の確立
- 四軸調整によって電子銃より放出する電子ビームの方向が微調整可能となった。また電子銃に搭載以前でも単原子より放出する電子ビームの方向が調整可能となった。一方、単原子電子源の寿命は、20時間まで電子ビームの放出が確認できた。また、20nAの条件では1時間安定に電子ビームを放出することが確認できた。
- (2)実用的極高真空技術の確立
- 真空壁のパーマロイブロックからの切り出しでは、表面処理および真空ベーキングによって、真空壁としての材質の問題はなく、極真空が得られることが確認された。
- V.評価
- 貴金属表面の単原子より放出する電子ビームについて、電子源の取り付け精度を向上させ、各種雑音を低減させる要素技術の開発は、電子顕微鏡をはじめとする電子ビーム利用機器の性能向上に大きく貢献することが期待される。
- 開発は極めて順調に進行しており、特に貴金属層被覆法を表面析出に応用した点は、当初計画を上回る成果であり、最先端の研究ニーズに応えるものとして高く評価できる。今後は、集光系の電子レンズと組み合わせた電子顕微鏡の電子源としての実用化に努めつつ、積極的に推進すべきである。